yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ヘンリー・パーセルの英国音楽史の一つの記念碑『ファンタジア集・ヴィオラ・ダ・ガンバのための』。いささか渋い、似たような音域、音色のヴィオラばかり(ヴァイオル・コンソート)での弦楽合奏。

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Henry Purcell -- Chaconne in G minor

             

イメージ 2先日のブログ投稿記事≪高橋悠治の『パーセル最後の曲集』(1974)。時を隔てた彼方よりの郷愁的な呼びかけの響き、静やかな愁いと魂鎮めのパフォーマンス。≫に貼り付けたYOUTUBEグスタフ・レオンハルトGustav Leonhardtのハープシコードによる演奏が大いに気に入ったので、帰宅途上BOOKOFFに立ち寄った。品数限られている中古品ゆえ、もちろんある訳がない。しかしたった1枚ヘンリー・パーセルHenry Purcell(1659?-1695)(ちなみにバッハは1685-1750)のアルバムがあった。それが今日取り上げるアルバム『ファンタジア集・ヴィオラ・ダ・ガンバのためのfantasias for the viols』(1994)。迷ったけれど、これしかないし、半額ということで買った。全く作品の前知識も何にもなしの購入である。それほどにハープシコード作品が印象深かったということなのだろう。結果はどうだったか?正直すこし渋く地味であった。似たような音域のヴィオラばかりでの弦楽合奏であることがそうした印象を与えるのだろう。音楽の構造的な解析の知識、素養のある方々であれば聴き方がかわってくるのだろうけれど。≪ガンバ合奏(英国ではヴァイオル・コンソートと言った。〔1600年から60年代までガンバによる合奏・ヴァイオル・コンソートが・・裕福な市民や知識人たちは、大小6台からなる1セットのガンバ(Chest of viole)を揃えていて、友人たちを招きあっては合奏を楽しんだと言われている〕)という合奏形態にも、ファンタジアという曲種にも不慣れな現代の好楽家たちは、この音楽の価値をじっくりと味わう環境には恵まれていないわけであるが、音楽学者たちはこの曲集を、対位法的な労作としてはバッハの「フーガの技法」に、弦楽合奏曲としてはベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲群に比べ、英国音楽史の一つの記念碑であると讃えている。≫(解説・大橋敏成)とあるように、やはり私のような表層だけを聴いての印象批評の弩シロウトには荷が重い作品集のようであった。音色の華やかさとかといった一般受けのする要素がかけている所為なのだろうか。それはともかく、こんにちでは≪この音楽の価値をじっくりと味わう環境には恵まれていない≫として自らを慰めておこう。36才という短命ながら、≪英国音楽史の一つの記念碑≫とされるこの『ファンタジア集』を作曲したのが21才という若さであった由。図抜けた楽才を早や示したということである。まさしく≪英国音楽史における最大の作曲家の一人≫と言うもゆえなしと言ったところだろうか。