yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

佐藤允彦『トリニティ(三位一体)TRINITY』(1971)。現代音楽好きで、ヨーロッパフリージャズ好みにはこたえられない理知とセンスの光るフリージャズ。

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富樫雅彦 & J.J.SPIRITS – MEMORIES 富樫雅彦 TOGASHI MASAHIKO(perc) 佐藤允彦 SATO MASAHIKO(pf) 峰 厚介 MINE KOSUKE(ts) 井野信義 INO NOBUYOSHI(b)

         

イメージ 2最近、佐藤允彦づいているようだ。それだけ演奏の質が高いということもあるし、現代音楽に近いセンスのフリージャズ、それに決してジャズスピリットを手放していないのが良い。
理知的な演奏、それになによりクリアーなピアノ。これは何より佐藤允彦のすぐれたところと私は思っているのだけれど。
いままで佐藤允彦のアルバムを取り上げて投稿した記事のタイトルを並べれば、おおよそが言い尽くされており、これ以上言葉を紡ぎだすのは私の鑑賞力からは困難なことだ。











「クールな熱さ」、「知と技」、「境界」、「清新」、「インテリジェンス」、「理知とセンス」といった言葉がキーワードと言ったところだろうか。
ところで「境界」とは、ジャズと現代音楽のといった意味であるけれど、先日投稿記事を綴っているときにはじめて知ったのだけれど日生劇場で聴いた(武満徹主宰する)現代音楽にショックを受けた佐藤允彦。なるネットインタビュー記事が目に留まった。
アアやはりといった印象だった。現代音楽への感心は並々ならぬものがあったそうである。
≪1966年から1968年にかけて米国バークリー音楽院に留学≫とあるけれど、その留学前、まさしく1966年にその記念すべき現代音楽コンサートが開催されたのだった。
そのときの収録アルバムを取り上げて≪記念碑的ドキュメント 『オーケストラル・スペース1966 VOL・1』≫とタイトルして既にだいぶ以前、投稿している。
ひじょうな盛況のうちに行われたそうである。そうでなくても熱き時代であったことは間違いない。さまざまなアヴァンギャルドなイベントがあったと記憶する。
さて今日のアルバム『トリニティ(三位一体)TRINITY』(1971)は、留学終えて後、ヨーロッパへの演奏ツアー?途上、日本のジャズをよく知る評論家・ディレクターのホルストウェーバーHorst Weberのプロモーションで、ドイツはミュンヘンの地にて、ベースのピーター・ウォーレンPeter Warren、ドラムスのピエール・ファーブルPierre Favreとの、初顔合わせでまったく打ち合わせなしの即興演奏を敢行したその記録ということだ。
≪この3人のミュージシャンはリハーサルをすることもなく、また演奏曲の規定をするのでもなく、互いに一つになっていたと強調したいのである。彼等は楽器のところにそれぞれが近寄り、そして即興演奏を繰り広げたのであった。・・・・この演奏でとくちょうてきなのは3人が互いに音をよく聴き、それからアイデアが生じ、そのアイデアを自己で把握して、結実させるという手法がとられていることである。ここには空虚という印象が全くなく、常み聴くことに対する集中のみが存在している。・・・≫(解説・ホルストウェーバー
とにもかくにも、私のような現代音楽好きで、ヨーロッパフリージャズ好みにはこたえられないほどに、よく出来たアルバムとなっている。
B面「ファー・トリップfar trip」でのトリオのコラボーレーションには、これぞ理知とセンスの光るフリージャズとの快哉をおぼえることだろう。このアルバムで佐藤允彦モジュレーターを使っての音色変化の試みを実践している。こうしたことにも現代音楽への傾斜は示されているだろうし、音へのスタンスには広いもの、拡張性を聴くけれどどうだろうか。
だからこそ、この気構えがすばらしいし、これがゆえに並みのエンターテイメントで終わらないのだろう。



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