yuki-midorinomoriの日記

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モーリス・ラヴェル『ピアノ三重奏曲]』。繊細に、輝きをもって色めくその抒情は「玄妙」と言いたいほどに美しい。ジャポネスク?の優しさに満ちた、ゆらめく旋律。

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Beaux Arts Trio plays Ravel Trio, IV

            

イメージ 2今日は、ジョゼフ=モーリス・ラヴェルJoseph-Maurice Ravel(1875 - 1937)の『ピアノ三重奏曲』。これは以前ブログにも綴ったけれど、いつものごとく出勤途上の車中でNHK・FMから流れていたのを聴き、なんと美しい曲だろうと印象した作品。その時は誰のものやら判らず聴いていたのだけれど、あとで番組をネット確認したところラヴェルの『ピアノ三重奏曲』であった。しかし、その車中で聴いたのは第4楽章のフィナーレの部分だけだったのだけれど。繊細に、輝きをもって色めくその抒情はことのほか美しい。なんだか私にはジャポネスクと呼びたいほどの優しさに満ちた、ゆらめく旋律を奏でているように思えるのだけれど。この静やかなふしぎな高揚感は一体なんなんだろう。話はもどるけれど、その時、これは是非手にして全曲聴きたい作品としてインプットされた。それほど感激したのだった。後日何と、ラヴェルが手招きするかのように中古レコード店の棚でその作品と出会ったのだ。それが今日取り上げるアルバムだ。カップリングの相手がアルベール・ルーセル(もしくはルセール、Albert Charles Paul Marie Roussel(1869 - 1937)であり、またこのアルバムがモノラル(パスキエ・トリオの演奏で1960年頃の録音らしい)ということもあって買うのを躊躇したのだけれど、安いことだしこれも縁だろうと手にした。名盤、名演の評価高いものでも録音の古いのは、なべて音質が悪いときているので、記録的な価値は認めるものの買ってまで聴く気はしない、ということで遠ざけてきた。しかしそれであっても聴きたかったのだ。それほどいい作品だということだ。【・・・この眩いばかりの作品、力強いが重苦しくなく、表情豊かであるが決してみだらに叙情的ではないこの作品は、このようにして終わる。心の内奥にじかに訴えかけるこの作品は、フランス芸術の最も美しい実りの一つである。】(解説・クロード・ロスタンclaude rostand)斯く言う、このフランスの高名な評論家の言葉に偽りのない傑作と私も思う。室内楽好きにはたまらないほどの魅力だ。そうだ!「玄妙」と言ういい言葉が今頭をかすめた。今までクロード・アシル・ドビュッシーClaude Achille Debussy(1862 - 1918)ばかりに気が行っていたが、遅まきながら、この作品を聴いて「ボレロ」のラヴェルを脱して見直したのだった。それほどにインパクトを与えた感動の作品だった。最後に、この稿のためにWIKIを覗いていて、この曲が【第1次世界大戦にトラック運転手として従軍中に着手された。】とあった。そういえば、オリヴィエ・メシアンの傑作、「世の終わりのための四重奏曲」も【第二次世界大戦でドイツ軍の捕虜となり、ゲルリッツに収容されていたときに作曲した。】のを思い出した。それら両傑作品の背後に横たわるものの共通性、死にまつわることどもに思いをいたしたとして、あながち間違ってはいないことだろう。それとも短絡に過ぎるだろうか。



オリヴィエ・メシアン、ブログ投稿記事――


Olivier Messiaen, "Louange à l'éternité de Jésus" from "Quartet for the End of Time"