yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

フランツ・リスト「BACHの主題による幻想曲とフーガ」「詩的で宗教的な調べ」ほか。超絶技巧の華麗のヒケラカシにいささか辟易するリストにあっては<渋い作品>を聴く。

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Horowitz plays Liszt Consolation No. 3

        

イメージ 2いやなやつだね、このリストFranz Liszt(1811 - 1886)という男は。と先ずこの呟きがでてくる。なにも嫌なら記事投稿せずともいいのだけれど。≪リストは超絶的な技巧を持つ当時最高のピアニストで「ピアノの魔術師」と呼ばれた。演奏技術と初見に関しては比類なき能力を誇っており、どんな曲でも初見で弾きこなしたと言われ、いまだに彼を超えるピアニストは現れていないとすら言われている。≫(WIKIPEDIA)。このようなきらびやかなピアニズム、その超絶技巧に魅力を感じるファンがたくさんいることだし、その技巧の程を試みる演奏者も数多くいることでもあるし・・・。ということでいささか腰が退けるのだけれど。ところで、きょうのバッハ及び宗教を題材にしての、彼にしては渋い作品といわれている曲でも同じで、もう少し押さえられないの?と言いたくなる独特の華麗なパッセージが貌を出し興ざめるところがないではない。斯く感じるのは私だけなのだろうか。才を誇りひとり悦にいるのは結構ですが。失意泰然(しついたいぜん)、得意澹然(とくいたんぜん)と言う奥ゆかしい言葉が用意されているのをお忘れかといいたくなる。ともかく技巧をひけらかす作曲家・演奏家のたぐいは元来私の嗜好から外れていることもあるのだけれど。それに華麗きらびやかというのも加齢するにつれ、聴くのが面白くなくなってきていることもあるけれど。老いた人間は枯れるものだということの常識を善しとはしないのだが。まあ、「人間」なるものが肥大してきた(=人間主義)ゆえの着飾る芸術表現の時代様式がそうさせてもいるのだと思いたいところではあるけれど。それにしてもパガニーニと謂いリストと謂い私には仰々しさがしらじらしい。交友あったフレディリック・ショパンFrédéric François Chopin(1810‐1849)も≪あまりの技術偏重に(さらにはリストの女癖の悪さに)呆れた後期は否定的だった。≫(同上)そうである。むべなるかなである。≪しかし、晩年のリストは技術よりむしろ表現力の追求にこだわった傾向(WIKIPEDIA)。の作品を残していると言うことだ。とすればこれほどの作曲家・ピアニストのことだ私の無知ゆえの誤解もあることだろうから、先述の思い込みを払拭するような、そうした作品も縁あれば聴きたく思うのだが。バッハの名もあるし、タイトルが魅力的ということで図書館から借りてきたCD。

収録曲は
1、J.S.バッハのカンタータ「泣き、悲しみ、悩み、おののき」のコンティヌオによる変奏曲
2、死の追憶(「詩的で宗教的な調べ」第4曲)
3、BACHの主題による幻想曲とフーガ
4、孤独の中の神の祝福(「詩的で宗教的な調べ」第3曲)

ここには辟易するほどの超絶テクニックをひけらかす嫌な面がいくぶんかあるとはいえ、題材ゆえもあってかまだましな方で、とりわけタイトルの<死>と<孤独>の文字が見える「詩的で宗教的な調べ」の第4曲、第3曲などは耳を覆うことなく興味をもって聴くことができた。美しい曲だ。