yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

NHK・FM特集番組『“現代の音楽”放送50年 この半世紀を振り返る』を迂闊なことに聴き逃す。う~んん、チクショウ知らなかった。

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きのう日曜日のNHK・FMでの「現代の音楽」は、なんと5時間にもわたる特集番組で≪“現代の音楽”放送50年 この半世紀を振り返る≫と題して行われていたそうである。若いときほどの熱心なリスナーで無くなって久しいけれど、最近はこの音楽ブログのせいもあってときどきだけれど、聴くようになった。で、いつもの開始時刻直前にスイッチをひねったら、すでに現代音楽らしき音が鳴っているのだった。時計が間違っているのかなと思ったけれど、その曲が終わるや、いつもの担当する作曲家・西村朗と、それにゲストの音楽評論家・白石美雪が、その作品、池辺晋一郎・作曲の「ストラータⅣ」を評しあっているではないか。よくよく聴けば「“現代の音楽”放送50年 この半世紀を振り返る」との主旨で延々、各時代の音楽諸相を掬い上げ代表する作品を「・・・長時間にわたって紹介してきましたが、やっと70年代に入って来ました云々・・・」を聞き、え!?まったく知らなかった。迂闊なことだった。まったくこれぞ正真正銘あとの祭りだ。惜しいことをしたもんだ。ことは現代音楽だ。もう、こんなチャンスは二度とないだろう。う~んん、チクショウである。ということで放送内容を備忘録としてコピーペーストしておこう。


イメージ 2≪“現代の音楽”放送50年 この半世紀を振り返る

                         西村  朗
                   【ゲスト】 白石 美雪
                              
組曲“稀薄な展開”から」  北園克衛・作詩、諸井 誠・作曲
                       (2分27秒)         
                              
「“阿知女”から」              松村禎三・作曲
                       (2分20秒)

                  <CMCD-28031>
                              
「“涅槃”交響曲から 第5、6楽章」     黛 敏郎・作曲
                      (10分00秒)
                   <CZ30-9013>
                              
「合唱のためのコンポジション 第1番から 第1楽章」    
                       間宮芳生・作曲
                       (4分57秒)
                    <VDR-5202>
                              
「水ヲ下サイ」        原 民喜・作詩、林  光・作曲
                       (5分16秒)
                    <ECJC-014>
                              
シンフォニア」               柴田南雄・作曲
                      (11分32秒)

「“交響三章”から 第2楽章」        三善 晃・作曲
                       (4分50秒)
                  <COCO-78442>
                              
「“ピアノ・ソナタ”から 第1、2楽章」   矢代秋雄・作曲
                       (5分00秒)
                  <KICC-354~6>
                              
「“ノヴェンバー・ステップス”から」     武満 徹・作曲
                      (11分30秒)
                              
「“響層”から」               石井眞木・作曲
                       (8分25秒)
                  <COCO-78453>
                              
「“素数の比系列による正弦波の音楽”から」  黛 敏郎・作曲
                       (1分19秒)
                              
「ホワイトノイズによる“イコン”から」    湯浅譲二・作曲
                       (2分37秒)
                 <OUOADM-0401>
                              
「“東京1969”から」           一柳 慧・作曲
                       (4分00秒)
                              
「“カインの犠牲者のために”から」      松平頼暁・作曲
                       (5分00秒)
                   <VICG-8002>
                            
「“東京湾”から」              近藤 譲・作曲
                       (3分45秒)
                              
「“オレンジ・マーマレード・サーキット”から」吉松 隆・作曲
                       (4分14秒)

「“天籟地響”から 第1楽章」        廣瀬量平・作曲
                       (8分05秒)
                     <30CM-59>
                              
「錯乱の論理」                八村義夫・作曲
                       (7分36秒)
                    <32CM-292>
                              
「ピアノ協奏曲」               野田暉行・作曲
                      (11分12秒)
                   <KICC-3039>
                              
「ストラータⅣ」              池辺晋一郎・作曲
                       (9分44秒)
                              
サイド・バイ・サイド」           北爪道夫・作曲
                       (9分16秒)
                   <FOCD-3489>
                              
「春愁歌」                  佐藤聰明・作曲
                       (8分19秒)
                   <FOCD-3253>

「“光の園”から 第2楽章」         新実徳英・作曲
                       (8分25秒)
                    <30CM-525>
                              
「“ヒロシマ・声なき声”から 第5楽章」  細川 俊夫・作曲
                      (13分31秒)
                   <FOCD-3491>


以上の内容であった。だから私は、定例の放送開始時刻の6時ごろの北爪道夫・作曲「サイド・バイ・サイド」以降、都合4作品を聴いたにすぎなかった。しかしこれらは初めて聴く作品ばかりだったので堪能した。ともかく、作曲家・西村朗と、それにゲストの音楽評論家・白石美雪の両氏が、先人のすぐれた礎のもとに、こんにちの日本の作曲家達の世界での活躍豊穣を愛でていたけれど、たぶん日本の文化力・ソフトパワーの一角を占めるほどの壮観となることは疑いないことだろうと確信する。アニメだけではない。で、これだけでは寂しいので以前ブログにも綴ったけれど、ジャズピアニストの佐藤允彦バークレーへの留学前、その現場、演奏会場におり大いに感銘を受けたと語っている、その武満徹(1930)と一柳慧(1933)の企画構成による音楽祭・「オーケストラル・スペース1966」(なんでも列をなすほどの観衆で熱気に包まれていたそうである)の 『オーケストラル・スペース1966 VOL.2』と銘打たれたアルバムを取り上げておこう。内容は          

 1.アトモスフェール(リゲティ
 2.戦術(クセナキス
 3.18回目の春のすばらしい寡婦(ケージ)
 4.アンバージュ(レイノルズ)
 5.合奏協奏曲(安達元彦)

この中で印象的な作品は5.合奏協奏曲(安達元彦)・1963であった。(1940年生まれ、国立音楽大・作曲科中退。松平頼暁間宮芳生らにも師事したそうである。)この作品は≪クラスターや独特なソノリティーのマッスと独奏の旋律の対比で形づくられた注目すべき作品であった≫(秋山邦晴「日本の作曲家たち」より)とあるごとく、すばらしい作品であった。そう、であったのだ。作風はこの作品以降大いに変わり≪民謡や民俗的なものに傾斜して、五音音階への新しいアプローチをこころみたりしている。≫(同上)との由。ところで、この記念碑的な時代を画したイヴェントのドキュメントの前半部分を収録したアルバムをすでに拙ブログへ記念碑的ドキュメント 『オーケストラル・スペース1966 VOL.1』 と題して投稿している。この記念碑的なイヴェントの3日間のプログラムのドキュメントに、黛敏郎はつぎの言葉を贈っている
≪「〈新しい音〉の発見から〈新しい音の在り方〉の追求へと変貌している現代音楽を、鮮烈な意識と峻厳な態度をもって捉えた、はなばなしい戦いの記録がここにある。おなじ厳しさによってそれに接する聴者は生きることの意味を再発見するに違いない。」≫(LP帯推薦の言葉より)