yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

富樫雅彦クァルテット『スピード&スペース』(1969)。68~9年と言う政情燃え盛り沸き立っていた、時代的にも熱き日本フリージャズの記念すべきアルバムのうちの一枚。

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新左翼全共闘の記録 ― 安保闘争学生運動国鉄紛争 1968-1970

           

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イメージ 2どこか、統御されているインテリジェントな熱きフリージャズといったところか。どこかとは、やはり、富樫雅彦佐藤允彦二人の類まれな<知的>音楽感性ということなのだろう。現代音楽的で醒めているというのではない。熱いのだ。あまり詳しくはないのだけれど、ドラマーにとって致命的な下半身不随となる重大事故があったのは1970年だそうであるから、今日取り上げるアルバム『スピード&スペース』は、その直前の1969年11月ということで、健体のもと、その華麗なドラミングがパフォーマンスされたアルバムと言えるのだろう。おまけによきパートナー佐藤允彦が2年間に亘るアメリカ留学を終えて帰国。翌69年自らの初リーダーアルバム≪『パラジウム』でスイングジャーナル誌「日本ジャズ賞」受賞≫(WIKIPEDIA)したその年にもあたる。その前年68年には「WE NOW CREAT」を発表しフリージャズを敢然している。この時期、彼は日本のフリージャズの推進力となっていたのは確かだろう。翌69年は題材もさることながら高木元輝との衝撃的なデュオパフォーマンスが光る、連続射殺事件で世間を震撼させた永山則男を扱っての足立正生監督制作した映画の劇伴音楽用のものをまとめアルバムにした「ISOLATION」 が制作されている。それと同時期のインテリジェントな熱気溢れるフリージャズ展開をみせているのがこのアルバム。佐藤允彦の内部奏法等をセンシティヴに使ってのピアノがその空間を作り上げるのに大いに寄与しており、高木元輝のサックスも切り裂くような激情に空間はヒリツキ、焚きつけ燃え上がり疾走する。この頃の高木元輝はすばらしく引き締まっている。あるべきところで鳴っているベース。池田芳夫のベースの絡みもすばらしい。ところで、このアルバムのタイトルになっているB面「速度と空間#1」および「速度と空間#2」よりA面の、一連のもの、ひとつながりだけれど「予感」「情景」「期待」の方がはるかにすぐれたフリーパフォーマンスになっている。いずれも四人の絡みはすばらしいが、佐藤允彦のピアノと富樫雅彦インタープレイはスリリングでタイトだ。たぶんこの時期のフリージャズの大きな成果といえるだろう。私としては、68~9年と言う政情燃え盛り沸き立っていた、時代的にも熱き日本フリージャズの記念すべきアルバムのうちの一枚だと言いたい。




参考――






Mototeru Takagi Trio - Face (Genya-sai 1971) 高木元輝 Mototeru Takagi: tenor asxophone,原寮 Ryo Hara: piano,米川進一 Shinichi Yonegawa: drums