yuki-midorinomoriの日記

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イレーヌ・シュヴァイツアーの初期のリーダーアルバム『EARLY TAPES』(1967)。女セシル・テーラーか。現代音楽的洗練とエネルギッシュなフリージャズパワー。

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Irene Schweizer (Documentary)

       

イメージ 2スイス生まれの女セシル・テーラーならぬ、パワフルなフリージャズ・ピアノパフォーマンス。彼女イレーヌ・シュヴァイツアー Irene Schweizer(1941-)のリーダーアルバムではなかったけれど、すでに拙ブログにて2稿登場している。≪ジャケットデザインの力強いタイポグラフィー同様インテリジェントとパワーを堪能させる、エヴァンパーカーのサックスを加えてのピエール・ファーヴルクァルテット。≫と≪女性版山下洋輔か、はたまた女性版セシル・テイラーか。イレーネ・シュヴァイツァーをピアニストに疾走するピエール・ファーヴルトリオの『サンタナSANTANA』(1968)≫だった。今回取り上げるアルバムはドイツフリージャズの中心的発信源であった自主レーベルのFMPより出されたもの。といっても、タイトルが『EARLY TAPES』とあり、また収録音源の日時が1967となっていることから、初期のリーダーアルバムなのだろう。再発なのかテープ掘り起こしによる新盤なのかそれらは定かではないが。ただネットを覗いたところ

1967, The early tapes, FMP 0590. Trio with Uli Trepte and Mani Neumeier.
1968, Santana, FMP 0630. Pierre Favre Trio.
1969, European echoes, FMP 0010/UMS/ALP232CD. Manfred Schoof.
1969, Pierre Favre Quartett, Wergo WER 80004.

となっていた。したがって、うち2作が上記のように投稿済みとなっているようだ。メンバーとして加わり活躍していたグループがフリーのつわものばかりの事を思うと、その性、フリーへの志向性は根っからのものだったようだ。今回の『EARLY TAPES』(1967)はまるで60年前後のセシル・テーラーを髣髴とさせるひじょうにエキサイティングなピアノパフォーマンスとなっている。洗練とエネルギッシュなフリーフォームピアノインプロヴィゼーションはまことに心地よい。私としてはセシル・テーラーより面白いとおもっているけれど、さてどのようなものだろう。現代音楽のセンスといったらいいのだろうか、泥臭さがないヨーロッパ的洗練が感ぜられるぶん私には好みだ。それは、内部奏法を取り入れたりのパフォーマンスにあらわれているし、トリオでのコラボレーションもそうした傾向を持つ演奏がいくつか収録されており、それらが67年という時期であることを考慮すれば先進性が感じられて、これまた好印象だ。ヨーロッパ・フリージャズの洗練と熱さ、そのアメリカン・ジャズのくびきから脱した独自性・ヨーロッパ・ジャズを堪能できる好アルバムといえるのではないだろうか。機会があれば聴いていただきたいアルバムの一枚だ。




Irene Schweizer Trio『Early Tapes』(1978・FMP 0590)

Tracklist:
A1. Dollar's Mood 6:58
A2. Attack 5:20
A3. Pre Beat Conception 6:50
B1. Don't Worry About 5:20
B2. Hinten 4:29
B3. Stop Twice 3:20
B4. Sounds 6:44

Credits:
Bass - Uli Trepte
Drums - Mani Neumeier
Piano, Written-By - Irene Schweizer
Producer - Hans Wewerka
Producer [Album Produced By], Photography [Front] - Jost Gebers
Recorded By - Willi Schmidt

Notes:
Recorded January 26th, 1967, Munich.