yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

三善晃の傑作『ヴァイオリン協奏曲』(1965)の高邁にして深い抒情と、諸井誠の12音列・数理・論理秩序をトコトン極めて逆説的に情緒性が美しい『ヴァイオリンとオーケストラのための協奏組曲』(1963)。

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イメージ 2今日は、三善晃の傑作『ヴァイオリン協奏曲』(1965)と諸井誠の12音列・数理秩序をトコトン極めた、これまた秀作の『ヴァイオリンとオーケストラのための協奏組曲』(1963)のカップリングされた好アルバムの紹介記事投稿だ。念のためにと、ネットにてアルバムの存廃やいかにと覗いていて驚くべきか、うらやましいというべきか、いや素直に喜ぶべき情報に出くわした。以前すでに記事投稿した≪<もの>「実質」の亡失。飢える精神の厳しさに耳そばだて、不可能性を生きるその激する内面のドラマを聴く『三善晃の音楽』(1970)3枚組≫の内容とほぼ同じというより、これよりも内容充実していると思われる≪『三善晃の世界』CD2枚組≫がなんと1500円で只今現在発売されているではないか。

【曲目】
[DISC-1]
1)ピアノ協奏曲
2)ソプラノとオーケストラのための“決闘”(萩原朔太郎 詩)
3)ヴァイオリン協奏曲
4)弦楽四重奏曲第2番
[DISC-2]
1)変容抒情短詩
2)祝典序曲
3)ヴァイオリン・ソナタ
4)フルート,チェロ,ピアノのためのソナタ
5)交響三章

とあった。ちなみに私が取り上げたLP3枚組みの『三善晃の音楽』(1970)の収録リストは次のごとくだ。

収録曲――
ピアノ協奏曲・1962
ソプラノと管弦楽のための「決闘」・1964
歌曲集「白く」・1962
ヴァイオリン協奏曲・1965
弦楽四重奏曲第二番・1967
変容抒情短詩・1969
祝典序曲・1970
合唱組曲「四季に」・1966
合唱組曲「五つの童画」・1968

どうだろう。繰り返しになるが、これはすばらしい企画だ。別に私は回し者でも、アファリエイトで稼ぐ手合いでもない。ぜひ手元において、我が日本の誇るべき作曲家の、これらのすばらしい作品群を聴いて頂きたいものだ。今日取り上げたLPも廉価盤だったけれど、たった2曲のカップリングで1500円のことを思えば画期的なことといえる。
ま、そんなことはともかく、緩やかに奏でられる楽章での抒情精神のすばらしさは見事だ。真率の高邁な抒情を歌い上げて、この作品には≪芸術祭賞、NHK作曲賞、毎日音楽賞≫が与えられている。この作曲家だけでなく、他の同世代作曲家たちのこの前後する時期の見事なまでの成果達成の噴出するがごとき集中は凄まじいものがあったと、聴きなおす機会イメージ 3を持った今になって思うことだ。もう片方の諸井誠の作品も、12音列の数理、論理秩序を極限まで突き進めてのその成果が、メカニカルな冷たさどころか情緒的な抒情性すら感じさせる作品になっているのが意想外で好感をもたらす。作曲家自身次のように記している≪・・・ところで、この曲を発表すると、人々は私の作風に変化が起こり、情緒的要素が大幅に加わったことを指摘し、それを歓迎してくれた。つまり極端な論理追求の果てに、情緒があらわれたのだろうか。私は当時こうした批評に反発を感じたものだが、今になってみると、彼らの見方や感じ方にも、ひとつの真理があったようにも思える≫(諸井誠)。確かにこうした情緒性の逆説的な現出はまま見られることのようだ。クセナキスしかり、高橋悠治しかりだ。聴けばそう思うことだろう。なぜだろう?




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