yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

信時 潔:交声曲「海道東征」(1940)、橋本國彦交声曲「皇太子殿下御生誕奉祝歌」(1934)。戦意高揚、軍歌まがい、民族臭芬々の音たちからはもの哀しさがともにやって来る。

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信時 潔:海行かば

  
            

信時 潔
イメージ 2ふだんから評論家などが推す年代モノの名盤とかにはあまり興味はなく、したがって、ステレオ時代にはいってからのクォリティの高い音盤の方を選択している。無ければしぶしぶといった購入となるけれど。現代音楽やフリージャズを中心に聴いてきた所為か、しょうじき、たとえば私はフルトヴェングラーや、トスカニーニといったコダワリなどほとんどない。演奏家ももちろんそうだ。モノーラルでそうした名演奏を聴くといった趣味は持ち合わせていない。ステレオ音源での音質良好な指揮者の、演奏家の音盤を聴いてきた。聴き比べといった趣味も持ち合わせていないのでなおさらだ。プロの評論家の思い入れで推す旧時代の名盤など、(観賞用には)ほとんど聴くに堪えないものが多い。作品をただ聴くというだけなら音質のいい、すくなくともステレオ時代以降の音盤の方が銭失いにならないと思うのだけれど。といいながら、今日の取り上げるアルバムは、なんと78回転(レコードを知らない世代にとってはなんのこっちゃ?!)のSPレコードの復刻CDだ。ご多分にもれずザアーザアーと雑音の大雨が降っているのはいうまでもないが。これがノスタルジーを誘うとして有難がる向きもあるようだけど。どうなんでしょうかね。わずかの所蔵数ゆえ、わが町の図書館で、これはといった食指のでるレコードもとうとう尽イメージ 3きはじめ今日のピックアップとなった次第。なんでも、≪音楽を通じ心豊かな潤いのある社会環境の形成を願い活動しています。≫を趣旨とする財団法人 ローム ミュージック ファンデーションなる機関が企画出版とのこと。ただ、収録作曲家に信時 潔 (のぶとき きよし、1887 - 1965)と橋本 國彦(はしもと くにひこ、1904 - 1949)の名前があったのと、一度は聴いておくのもいいかと思い借りてきた。両作品とも、もう、ひと言でいって戦意高揚の軍歌まがいの曲風だ。驚くのはそうしたことではなく、今から68年、そして74年前の作品がこうした音作りであることだ。今現在は戦後63年、団塊親父が60才還暦だ。そんなに大昔のことではない。戦前、戦時局とはいえ、この落差には、もうひたすら涙をさそうというものだ。大マジメで斯くなる作品を、それも、海外留学等の経験、研鑽をつんだ当時最高の知性だったはずの作曲家のものした作品なのだ。もちろん哄いなどは出来ない。ザアーザアーと大雨が降っているなか流れてくる国威発揚、軍歌まがい、民族臭芬々の音たちからはもの哀しさがノスタルジアとともにやって来るのだ。彼我の感頻りであった。あたりまえだけれど。





■CD4 日本人作品[全2曲]

1.信時 潔 Kiyoshi Nobutoki(1887-1965)
信時 潔:交声曲「海道東征」
日本ビクター A504~11(1941年録音)

2.東京音楽学校(橋本國彦) The Tokyo Academy of Music(HASHIMOTO)
交声曲「皇太子殿下御生誕奉祝歌」
日本コロムビア A185~7(1934年録音)