yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

マルキスト、フレデリック・ジェフスキー「Coming Together」(1972)「Attica」(1972)ほか。アジテーションの高揚と哀しみ。虐げられし民への共感と愛。

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Frederic Rzewski - Coming Together

             

イメージ 2今日取り上げるアルバムは、フレデリック・ジェフスキー Frederic Rzewski(1938‐)のアメリカ・マイナーレーベル<OPUS ONE>より出されていたもので「Coming Together」(1972),「Attica」(1972),「Les Moutons De Panurge」(1968)の3作品が収録されたもの。
WIKIPEDIAによれば彼はマルキストと記されている。たしかに60年代後半イタリアで結成され活動していた即興演奏グループMEV(Musica Elettronica Viva)時代のアルバム≪MEV(ミュージック・エロクトロニック・ビヴァ)の喧騒と狂騒のカオスに高揚する『The Sound Pool』(1969)≫の中びらきの写真のいでたち様相は毛沢東バリであった。ということで私自身は勝手に根拠も無くマオイストと断じて上記投稿していた。
この年代当時ガチガチの教条主義を体現していた左翼イデオロギーは赤い表紙の毛語録を振りかざしていたマオイズムだった。そのイズムにシンパシーを持っていた高橋悠治(1) (2)坂本龍一を今思い出す。今なおWIKIでその記述が訂正されていないことをみると、たぶん間違いのないことなのだろう。
ところで、この稿のために前調べにWIKI記事を覗いていて、今日のアルバム収録作品に関してほとんどが述べられていたので、アンチョクではあるけれど語学不案内を援けてもらう意味で大いに利用させていただくこととしよう。
1曲目の「Coming Together」(1972)は【1971年のアッティカ刑務所暴動の際の、同刑務所服役囚からの手紙に曲付けした≪カミング・トゥゲザー Coming Together ≫】。
次の作品「attica」(1972)もその刑務所暴動の当事者のことばに同様付曲した作品だ。
囚人のほとんどはマイノリティーだ。困窮に這い蹲る彼らへの共感、オマージュでもあるのだろう。シンプルな繰り返しの音楽(ミニマルともいえる)をバックに迫真のことばが力強く読誦される。ある種、政治アジテーションの高揚感の趣をもつ、パセティックな作品といえるだろうか。
しかし次の「attica」(1972)は哀しみを漂わせるフォークロアといってもいいような作品となっている。それぞれ読み歌われているテキストの意味がまったく分からないのだけれど・・・。虐げられた人々、反権力運動に身を投じ散っていた人々への共感をつよく感じさせる作品となっている。
ソビエト社会主義圏の瓦解以前のイデオロギー時代に共に生きた世代(おおチェ・ゲバラ!)にとっては、なまなかな気持ちでは聴けないとだけは云っておこう。弱肉強食のグローバル時代の昨今、嗤うべき教条でしか事を起こせない這い蹲るような最貧の生というのも世にはある。ただ今現在でも世界のいたるところでマルクスは生きており毛沢東も生きていることだろう。
さて最後の「Les Moutons De Panurge」(1968)は政治性を抜きにした純然とした音楽作品。これもWIKI記事に援けてもらうと【管理された偶然性の要素を取り込んだミニマルミュージック作品≪パニュルジュの羊 Le mouton de Panurge≫を発表。これは不特定の旋律楽器群のための作品で、65の音符からなる旋律の構成音それぞれの上に番号がふられ、それらを一定の規則にしたがって演奏するというもの。演奏者は間違えるとその箇所から弾き直しを行うように指示されており、意図せざる間違えが旋律のずれになり、そこから音のモアレが生まれる。パニュルジュとは、フランソワ・ラブレーの『ガルガンチュアとパンタグリュエル物語』に出てくる登場人物であり、「パニュルジュの羊」は同物語第4の書のエピソードで、付和雷同する者のことを指す。】と評されている。
ベースとなる響きはガムランの響きである。どこやらで読んだけれどアメリカ音楽は民族音楽だというのがあった。このことばを思い出させるパフォーマンスの作品だ。民(衆)への共感愛といったところなのだろうか。先の≪演奏者は間違えるとその箇所から弾き直しを行うように指示されており、意図せざる間違えが旋律のずれになり、そこから音のモアレが生まれる。≫というこのコンセプトには、音楽形成への偶然性の取り込みという意図も勿論だけれど、統御できない、コントロールできないことのまるごとの存在認識受容は、複雑系、多様性の相貌如実の現代只中に生きている私たちにとっては意味を見出すことだろう。



           (From left: Allan Bryant, Ivan Vandor, Richard Teitelbaum, Frederic Rzewski, Alvin Curran)
イメージ 3フレデリック・ジェフスキー関連ブログ投稿記事――






Frederic Rwezski: Attica







ところで、このアルバム内容とは関係が無いのだけれど、こうした時代を冥く思い出させる反政治動向を扱って最近、映画賞をとったと言うニュースが目を射った。若松孝二監督
『実録・連合赤軍』だった。