yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

Evolution Ensemble Unity の近藤等則と高木元輝『CONCRETE VOICES』(1976)。エゴイズムの専制、スタンド・プレー、グループ内の権力構造を共同的に超出しえたか?

イメージ 1

Derek Bailey & Japanese company in Kyoto 1978

              

イメージ 2黒ずくめの衣装にクロメガネ、そのいでたちで≪〈反ソ〉文章を書き、不正の象徴としての〈ユダヤ人〉に鋭い筆鋒を向け、戦後は〈戦犯作家〉として投獄され、その死に際しては司祭から葬儀の執行を拒否されたセリーヌ。全世界、全歴史、全人類の欺瞞を呪詛し、その糾弾に生涯を賭け、絶望的な闘いに倒れた〈敗残の巨人〉セリーヌ。≫そのルイ・フェルディナンド・セリーヌなしくずしの死を引っ提げて陰々滅々わけ分からぬ言辞を弄してフリージャズを論じ託宣していた間章が、今日取上げるアルバムEvolution Ensemble Unity の『CONCRETE VOICES』(1976)にも顔を出している。その舌鋒相も変わらずだけれど。トランペットの近藤等則、サックスの高木元輝、それにベースの吉田盛雄のトリオによるパフォーマンスドキュメント。≪EEUは、発展・合奏・統一、または解放・混成・混合体あるいはひとつの連続語とするなら解放合奏集合体、発展的合奏部隊の意味である。それは、ニュージャズによく見られるエゴイズムの専制、スタンド・プレー、グループ内の権力構造、グループ機能のシステムを<ユニット>をもって共同的に超出し解放しようとする為により自覚的に自由と集団的即興演奏を展開するために結成された。75年7月時の創立メンバーは高木元輝(reeds)近藤等則(tp)徳弘崇(d)土取利行(ds,perc)豊住芳三郎(ds,perc)の5人であった≫(解説・間章「EEUと開かれたフリーの地平をめぐる三章」より)とある。ま、殆んどの即興グループは、たぶんこのようなことを目指しているだろうし、ことさらに宣言するほどのことでもないと思うんだけれど。でなければフリーのフリーたる妙味が無いといわなければならない。さてところがである、その目論見成功しているとはいい難いとの印象が正直なところである。いま一歩の踏み込みが・・・といった熱しきれなさ、吹っ切れなさに苛立つ。これが≪エゴイズムの専制、スタンド・プレー、グループ内の権力構造、グループ機能のシステムを<ユニット>をもって共同的に超出し解放しようと≫の試みの結果だとしたら、情念解放されずこころに鬱屈が残るばかりだ。荒々しく外にも向かわず、集中的に内へも向かわずで、燃焼しきれないもどかしさが残る。この高木元輝はもっと焚きつけなくては面白味の出ないプレイヤーであることを再確認した。当時としては未だ役者が違ったのかもしれない。


Evolution Ensemble Unity - Concrete Voices
1976, EEU (Japan) - EEU 001
A-1. ブリリアント・コーナーズ (T.Monk)
A-2. ドロップス
A-3. ボーン
A-4. ドリフト
A-5. ストーン・ブルース (M. Takagi)
B-1. コンクリート・ヴォイセズ
Toshinori Kondo: trumpet, alto horn, percussion
Mototeru Takagi: tenor sax, soprano sax, bass clarinet, alto clarinet, percussion
Morio Yoshida: bass, percussion


近藤等則、関連投稿記事――




高木元輝、関連投稿記事――







1995年のベルリン・ジャズフェスティバルでのライヴ。近藤等則とブロッツマンとのインタープレイが聴きもの。フリージャズに興味のある方、また近藤等則の凄まじいソロプレイを観たい方は是非!おすすめです。残念ながら貼付け不可の動画です。

Die Like a Dog Quartet - Jazz Festival Berlin 1995
http://www.youtube.com/watch?v=sLEyKsK770I

Peter Brotzmann : alto & tenor saxophones, tarogato
Toshinori Kondo : trumpet, electronics
William Parker : double bass
Hamid Drake : drums, percussion



BLOW THE EARTH : PERU (1) by Toshinori Kondo