yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ペーター・ブロッツマン『ブロッツマンBROTZMAN・ソロ』(1976)。ワメキ、咆哮を伴ったボイスともどもの荒々しいパッションが吹き<荒ぶ・遊ぶ・スサブ>サックスソロパフォーマンス。

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peter brotzmann quartet - warsaw 1974 clip:Peter Brotzmann - reeds:Alexander von Schlippenbach - piano:Peter Kowald - bass:Paul lovens – drums

          

イメージ 2技量のほどを披露するというより、パッションを吹き<荒ぶ・遊ぶ・スサブ>といった風情のサックス、クラリネット、ソロアルバムといえるだろうか。
思いのたけの表出が楽器・サックスでは追いつかず、ままならぬその苛立ちのワメキ、咆哮を伴ったボイスともどもの荒々しい吹奏パフォーマンスとなる。
よく口より手が先に出るという表現で感情を抑えられず非理性的行動に出る気性の激しさを言うことがあるけれど、それを髣髴とさせるような、溢れ出るパッションのサックスに圧倒される。
これがペーター・ブロッツマンPeter Brötzmann (1941‐)のヘラクレスとも称されるパワフルな咆哮と呼ぶにふさわしい、サックスサウンドの魅力ともいえるのだけれど。
エネルギッシュで秩序破壊的ダダの趣を感じさせるヨーロッパ・フリージャズの衝撃をもたらした功績は、先ず筆頭にこのブロッツマンに冠せられよう。それに奇人パーカッションのハン・ベニンク。それにデレク・ベイリーや、エヴァン・パーカーらもあげられるだろうけれど・・・。
ともかくこの音楽ブログ開設の劈頭を飾る投稿記事ともいえるのが、ダダイストナム・ジュン・パイクも聞き惚れたブロッツマンのフリージャズアルバムだった。それほどにインパクトをもったものだった。
それと、現代音楽では言うまでもなく、ヤニス・クセナキスだった。両者ともに若き日々のわが心を揺さぶり奥深く居座り続けた音楽家だった。
確かにこれは凄まじく吼えまくり荒ぶジャズで、その後のヨーロッパ・フリージャズのひとつの方向性を指し示した記念碑的アルバムだった。
(ちなみにこのダダイストナム・ジュン・パイクは、音楽史をひっくり返し、引っ掻き回した戦後現代音楽の革命家、ジョン・ケージのネクタイをハサミで斬り落とすというハプニングを敢行したことでも有名な芸術家だが。)
この荒ぶる・遊(すさ)ぶヨーロッパ・フリージャズの代名詞ともいえる、サックスのヘラクレスブロッツマンがアルト、テナー、バスの各サックスと、クラリネットを使って無伴奏のソロで仕上げた剛直なアルバム『ブロッツマンBROTZMAN・ソロ』(1976)を聴くにつけ、これは音楽を聴くというより、「ワメキ、咆哮を伴ったボイス」と音で、「楽器・サックスでは追いつかず、ままならぬその苛立」のその思いのたけ、情意に聴き入るといった評の方が相応しいのかもしれないとの感想を抱かせるものだ。



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