yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ジョン・ルイストリオ『情景SENSITIVE SCENERY』(1976)。≪寡黙にして美しいインテリジェンスなジャズピアノ≫、抑制の繊細、そして過剰、饒舌でないところがすばらしい。

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John Lewis - I Can't Get Started

          

   「曲がり角の先には何があるかはわからない。でもきっといいものにちがいない」
                              (「赤毛のアン」)

イメージ 2寡黙にして美しいインテリジェンスなジャズピアノ。ジョン・ルイスデビュー33年目にしての初ピアノ・ソロ『素描』(1976)
寡黙で端正、品格を感じさせるジョン・ルイス(1920-2001)の『THE JHON LEWIS PIANO』(1956)≫とタイトルしてすでに2枚のレコードを取上げている。ジョン・ルイスJohn Lewis, 1920年5月3日 - 2001年3月29日)のバックグランドは、教養主義的だ。それは彼の音楽センスにあらわれているようだ。≪・・・誰かが教えてくれたことがある。ジョン・ルイスが育ったニューメキシコ州アルパカーキという町は、ほとんど黒人がいない町だったそうだ。彼の祖父はこの町に幌馬車でやってきて、おおきな居心地のよいホテルを建て、その一角に家族は住んでいた。だからジョン・ルイスは、黒人に対する偏見がまったくない環境に育った。黒人の数が多いと人種的な摩擦をおこすが、ルイス家以外はみな白人だったから、摩擦の起こりようがなかったわけである。≫(解説・油井正一)とあった。にわかには信じがたくは思うものの一理はありそうだ。そうした環境で育ち、大学はニュー・メキシコ大学、専攻は人類学だったそうだ。もちろん音楽はクラシカルなトレーニングを幼少時は母親から、長じて大学でも専攻コースと並行して音楽を修学していたそうだ。ジャズとの出会いは兵役での任地フランスでのことだったそうだ。このような非常に恵まれたバックグランドを知るにつけ、先のタイトルに記したように≪寡黙で端正、品格を感じさせる≫その知性的な雰囲気を持つジャズ、あるいはピアノパフォーマンスであることがなんだか納得できるようだ。そうしたバックグランドの結実が後年のバッハの「プレリュードとフーガ」2巻(私は未だ聴く機会をもてないでいるけれど)の演奏収録となったのだろう。一般的な認知では、ソフィスケートされた洗練のジャズを愉しませてくれたビッグなコンボ<MJQ>のジョン・ルイスではあるけれど、私には、今日取り上げるトリオやピアノソロのジョンルイスである。ともかく、さりげなく知性がにじみ出るかのような≪寡黙にして美しいインテリジェンスなジャズピアノ≫、≪寡黙で端正、品格を感じさせるジョン・ルイス≫はシンプルさで極上をゆく心なごませてくれるソフィスケイテッド・ジャズと言えるだろうか。抑制の繊細、そして過剰、饒舌でないところがすばらしい。それは断じてムードジャズではない。とりあげたアルバムは『情景SENSITIVE SCENERY』(1976)。


John Lewis(p)
Michael Moore(b)
Connie Kay(ds)