Gunther Schuller & Jim Hall - Variants On a Theme of Thelonious Monk (Criss-Cross):Ornette Coleman (alto sax),Eric Dolphy (flute, alto sax, bass clarinet),Robert Domenica (flute),Jim Hall (guitar),Eddie Costa (vibes),Bill Evans (piano),Scott LaFaro (bass),George Duvivier (bass),Sticks Evans (drums),and the Contemporary String Quartet
先日取り上げたインテリジェントなジャズピアニストで
モダン・ジャズ・カルテット<MJQ>を結成し、以後、演奏者、作・編曲家としてソフィスケートされた良質のジャズを推進展開した
ジョン・ルイス(John Lewis, 1920 - 2001)が作曲家≪
ガンサー・シュラーGunther Schuller(1925 - )らとともに、ジャズとクラシックの融合を目指した「サードストリーム・ミュージックThe Third Stream」≫(WIKI)の歴史的ドキュメントとして意義を持つと思われるアルバム『ジャズ・
アブストラクションjazz abstractions』(1961)が今日取り上げるアルバム。
ネットを覗いていたら、かの
オーネット・コールマンのアルバム≪『
FREE JAZZ』録音の前日録音。≫であると書かれていた。それにレコード裏面に記されてもいるけれど≪1961年7月6日交通事故死した
SCOTT LAFARO(1936 - 1961)に捧げられています。≫とのことだった。この≪ジャズとクラシックの融合を目指した「サードストリーム・ミュージック The Third Stream」≫の試みが必ずしも成功したとは言いがたい残念な結果に終わったことは、すでに歴史的な評価のようだ。確かに、このアルバムを聴けば、おおかたのジャズファン、現代音楽ファンは肯うことだろう。ようするに折衷という言葉にピッタシな印象をもつことだろう。フリージャズではなく、ニュージャズを目指したということなのだろうけれど。言い方が悪いけれど、好き勝手に双方のイディオムを使ってパフォーマンスした方が
ジャズの本来からすれば、意に適っていたのではと思ったりする。つまりは60年代半ばから突出するヨーロッパフリージャズのダダ的ともいえる解体的なフリー・フォームこそがそれだったのでは、いや、それでしかありえないのではと私には思えるのだが。あまりにもクラシカルな<音楽>なるものに囚われた教養的な、
スノビズム snobbismに足をすくわれているように思えるのだけれど。俗に言う「教養が邪魔をする」ということなのだろうか。「第3の流れ」を創り出す筈が流れ去ってしまった。ただこのアルバムの貴重で、面白いのは登場するメンバー(
オーネット・コールマン、
エリック・ドルフィー、
ビル・エヴァンス、
スコット・ラファロ、
ジム・ホール、ドン・エリスらであり、とりわけ
ドルフィーが好演)の顔ぶれであり、のちジャズ界に名を馳せる演奏者がみえることだ。彼らの若き日の演奏が聴けるということでフリージャズファンには聴き逃せない歴史的な意義を持つ一枚であることは言い募っておこう。