yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

現代音楽作曲家のジャズワールド『水野修孝の世界THE WORLD OF SHUKO MIZUNO』(1976)。これこそが「サードストリーム・ミュージック」に相同するのでは・・・。

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イメージ 2寝起きの朝っぱらからジャズというのは重たいものだ。それにまた、一日の仕事を終えて疲れを癒す酒の一杯、晩酌を嗜む前のジャズというのも、これまた重いものだ・・・。
といいつつ、たまには大音量のホーンの音圧に身を晒し投げ出したいという衝動的な思いで、手にしたのが現代音楽作曲家の水野修孝(みずの しゅうこう、1934- )が果敢したビッグバンドジャズのアルバム。
すでに2枚のアルバムを≪現代音楽作曲家『水野修孝のJAZZ ORCHESTRA '73』。水野修孝的オートノミー・フリージャズとしてコレクティブパフォーマンスに妙味感じさせる後半部。≫および≪現代音楽作曲家、水野修孝の遠慮がちなビッグバンドジャズ≫とタイトルして投稿している。
そこで彼は、≪ジャズオーケストラのつんざくようなサウンドをこの上なく愛するものである。≫として≪作曲者として是非ともお願いしたいことがひとつある。それは僕の音楽は出来るだけボリュームをいっぱいに上げて大音量で聴かなくてはあまり意味がないということです。なるべく大きな音でガーンとやってもらいたいのです。もし小さな音でカサコソと鳴ったら困るのです。ボリュームの圧力が重要な生命だからです。・・・≫と断わっている。まさにその通りのロック・ビートに乗ってのエネルギッシュなビッグバンドジャズをその2枚で開陳している。
というものの、私には、たぶん作曲者が思っている以上に、今日取上げるアルバム『水野修孝の世界THE WORLD OF SHUKO MIZUNO』(1976)収録のA面にある「DUM」【1976年5月26日、東京、ヤマハホール"水野修孝の世界"(関口喜久(alt sax)、瀬小口美和子(pf),Reymond Cheng (electric vn)、山田いさお(drum)、村上修一(drum)、金井英人(cb)、森健次(alt. sax)、水野修孝(synth.,perc.))】のほうがいっとう面白かった。
ここでは作曲家自らがシンセサイザーを使って参加しているのだけれど、この収録パフォーマンスこそが、昨日のジョンルイスとガンサー・シュラー目指すところの「第3の流れ」「サードストリーム・ミュージックThe Third Stream」に相同するのではないかと思わせるほどに、現代音楽のセンスとフリージャズのセンスが見事に生きていると感じたのだ。
≪日本人に特有な「気合」とか「間」あるいは「祭」のイメージといった日本的な世界を、むしろオタマジャクシでは表現できない音の組み合わせで示す狙いがあって、殆んどアドリブばかりで構成されている。≫(解説・藤井健夫)とあるように、祭囃子を思わす篠笛?や、演奏者の掛け声、合いの手がたくみに挟み込まれ、≪日本的な世界≫の情趣が醸し出されていて、面白いパフォーマンスとなっている。
こうでなくてはいけないのだと思ったのだった。仕掛けは現代音楽からのアプローチで、そしてアドリブ、インプロヴィゼーションなどはジャズからのアプローチでといった良き成果の好例と私には思えたのだった。これこそが「サードストリーム・ミュージックThe Third Stream」の一つのありようではないだろうかと・・・。