yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

佐藤允彦、アウェーのドイツでの収録もの。『スポンティニアスSPONTANEOUS』(1971)。アルバート・マンゲルスドルフとのコンボ。超速脱境域、知的にコントロールされたその技と感覚の冴えは出色だ。

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Escape Velocity - Masahiko Satoh

          

イメージ 2佐藤允彦(1941-)は、本当に凄いピアニストです。と、言うまでもないことをつぶやいています。ドイツジャズの牽引者であったトローンボン奏者のアルバート・マンゲルスドルフAlbert Mangelsdorff(1928 –2005)とのクァルテットでのパフォーマンス。それもアウェーのドイツでの収録もの。山下洋輔がヨーロッパ、ドイツで驚きをもって称賛迎え入れられたのは確か74年だったはず。と言うことは、この収録日時が71年と言うことだから、その3年も以前のこととなる。(佐藤允彦が音楽留学から帰国しての2年後のことだ。)演奏内容は言うに及ばず、そのことだけでもたいした成果といわなくてはならないだろう。再度言う。アウェーであり、自前のコンボでのそれではなく、ピアニストとして迎え入れられての他流試合でのパフォーマンスだ。このすばらしい集中力のフリー・アヴァンギャルドインプロヴィゼーションには感嘆のほかない。ブルースだの、スイングだのアフリカンジャズだの、そうした単なる、いささか安易に過ぎる思い込み、思い入れでしかないジャズへのイメージを超速ですり抜け脱境域したインテリジェントでセンシティヴなジャズは、快感以外のものではない。ヨーロッパ・フリージャズを愛する現代音楽フアンにとっては、イメージ 3見事と云うほかないすばらしいジャズピアニストである。それを更にさらに認識を深めたアルバムだった。タイトルはそのパフォーマンスにふさわしい『スポンティニアスSPONTANEOUS』(1971)。佐藤允彦のモデュレーターを使ってのエレクトロニックな緊迫した音色変化の空間放出も心地よく聴く者に食いついてくる。ビートにのっての凄まじいまでの疾走もエネルギッシュで、しかし知的にコントロールされたその技と感覚の冴えは、出色だ。この挑む姿勢はすばらしい。フリージャズはこうでなくては・・・。



『スポンティニアス」
Albert Mangelsdorff : Trombone
Masahiko Sato : Piano,Modulator
Peter Warren : Bass
Allen Blairman : Drums