yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

アーチー・シェップ『変転の時・Things Have Got To Change』(1971)。政治的メッセージ性の強い、アグレッシブで押しまくり、乗りまくる泥臭いブルースファンキージャズの熱狂。

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Archie Shepp - Money Blues

             

イメージ 2同情するなら金をくれ~とは、いつの時代でも地べたに這いつくばって生きるしかすべのない底辺の切実な叫びであることは云うを待たない。お恵みをと手が出てくるのだ。しかしそれを蔑むべきではない。立場変わればそうなるのだ。これこそが、関係の絶対性と云うものだ。下げたくもない頭もさげなければ生きていけないのが現実・世間だ。ところで昨日は、まったく久しぶりにブルージーというも、彼の地の<ド演歌>ともいえるのだろうか、アーチー・シェップのアフロ・ブラックジャズを聴きなおしたことだった。そこでは、今から40年近くを遡ることになる当時の沸騰する熱気を感じさせてくれたものだった。60年代半ばからのアメリカの黒人差別撤廃、公民権運動、それらにまつわる指導者たちの暗殺(マーティン・ルーサー・キング・ジュニアMartin Luther King, Jr、1929 - 1968)、暴動等の諸事件が、そして世界のベトナム戦争(1959-75)などがフラッシュバックのように想起されたのだった。色々ありましたといったところか。一難去ってまた一難、世界はたいして変わりはしない、人間理性の愚かさ、その永遠の繰り返しの如くだ。ということで、今日も、昨日よりももっと政治的なメッセージ性の強い、アグレッシブで押して押しまくり、乗りに乗りまくるアーチー・シェップのブルース、ファンク、ソウル、ゴスペルなどのごった煮で唄いまくり踊りまくると言うにふさわしい泥臭いジャズ、ブルースファンキージャズを聴こうということで、『変転の時・Things Have Got To Change』(1971)を棚から引っ張り出してきた。まさに呻きとも叫びともつかぬ悲哀のこもったブルージィでゴスペル、ソウルフルなフレーズの、まるで没我のうちに苦難を忘れ去ろうと言うかのごときの執拗なまでの繰り返しには熱くなるものがある。こういうのを聴くと、アーチー・シェップの本領はアヴァンギャルド、革新者というより、こういう保守的な泥臭いスタイルにこそあったと思えてきたことだった。今にして思えば、後押し、支えてくれたセシル・テーラーにしろ、コルトレーンとはそもそもが異質だったのだとも思えてしまう。やはりスマートさに欠ける血多き演歌歌手だったのだ。



パーソネル:
Joe Lee Wilson Vocal, Roy BurrowesTrumpet,Ted Daniel Trumpet,Grachan Moncur III Trombone,Charles Greenlee Trombone,James Spaulding Piccolo Alto Saxophone,Howard Johnson Baritone Saxophone,Dave Burrell Fender Rhodes,David Spinozza Guitar,Billy Butler Guitar,Roland Wilson Electric Bass,Beaver Harris Drums,Cal Massey Fender Rhodes,Leroy Jenkins Violin,Calo Scott Cello

収録曲:
1. マネー・ブルース
2. ドクター・キング、ザ・ピースフル・ウォーリア
3. 変転の時:パート1/パート2




Archie Shepp - Money Blues part2