yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

女セシル・テイラー!?イレーヌ・シュヴァイツァーとルディゲー・カール(ts)の双頭コンボ『GOOSE PANNEE』(1974)。女だてらのこの剛直。アナキーに突っ走る姿は、この陽春にふさわしい爽快さ

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Irene Schweizer/Rudiger Carl Duo:Live at the Vision Jazz Festival, New York, 1985.

          

イメージ 2いかにもドイツといった印象。何がドイツか?と突っ込まれそうですが。ようするにパターン化した安易な思い込みに過ぎないのかもしれないけれど。重い、固い、強烈、ハード、徹底性、アナーキーなのに生真面目?といった通俗的なイメージに過ぎないのだけれど。今日は、そのパフォーマンスから女セシル・テイラーの異名をとる?スイスを出自とするイレーヌ・シュヴァイツァーIrène Schweizer(1941‐)と、やはりそのサウンドがハードで好印象なテナーサックスのルディゲー・カールRüdiger Carl (1944‐)との二人の名を冠した双頭のクァルテットでの『GOOSE PANNEE』(1974)とタイトルされたフリージャズアルバム。無理している不自然といったような印象がないのがヨーロッパフリージャズのいいところであり、面白いところといえるのではと思うのだけれど。アトーナル(atonality)とブルースの異和がない。同レベルだ。そこがなんともおもしろいところなのだけれど。伝統的西洋クラシック音楽へのスノッブなまでの美化と固執、いわれなきエスノセントリズムethnocentrismの根強い文化圏であればあるほど、またそれに抗う動きも過激になる。それは雄たけびという事になる。はてまた抽象表現主義となる。自らつくりあげたもの(伝統)を自らが破壊するのだから、激越にならざるをえない。ダダ・ムーブメントなどその典型ともいえるようだ。我が国のダダといったところで、やはりどこか付けやいばの感否めないのではないだろうか。このような思いが、同様フリージャズにもないではない。山下洋輔のフリージャズは、国産純和風の、スマートでリリカルな印象を持つのではないだろうか。淡白な疾走だ。きれいな、スカッとする球質軽めのストレート・直球だ。重い球質のズシーンとくるストレートではない。山下洋輔自身野球が好きだったはず。ま、これはあまり関係ないかもしれないが。さて、女だてらのこの剛直。ヨーロッパフリージャズの真骨頂。猛然とアナキーに突っ走る姿は、この陽春、新緑の好季にふさわしい爽快さである。


FMP 0190 Goose pannée
Irène Schweizer - Rüdiger Carl Quartett
Irène Schweizer, piano; Rüdiger Carl, tenor saxophone; Arjen Gorter, bass; Heinrich Hock, drums.
1.Glücksgäu (04.30)
2.Opus de Fökk (04.20)
3.Masur (00.40)
4.Schleidling extra (09.40)
5.Goose pannée (21.15)
Recorded 13/14 September 1974 in Berlin, Quartier Latin.
Cover design (reproduced above) by Dietrich Maus.


Irène Schweizer Born 1941, piano, drums.
Rüdiger Carl Born 1944, Goldap (East Prussia); accordion, saxophone, clarinet, arranger, composer.



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