yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

パヌフニク、ルトスワフスキ、シマンスキ、『ポーランド3大作曲家 ピアノ協奏曲集』(1999)。陰影、彫琢、精神には根が生えている。だからこそ!ポーランド!?。

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Pawel Szymanski- Trop

         

Andrzej Panufnik
イメージ 2私のような70年前後より現代音楽を聴き追ってきた世代にとっては、ポーランドの現代音楽といえば、まず筆頭にクシシュトフ(またはクリシュトフ)・ペンデレツキ Krzysztof Penderecki(1933-)だった。その音群の圧倒する衝迫の表出力は驚きだった。それに宗教的な深さ。それについで、生年からすれば先輩となるのだけれど、ヴィトルト・ルトスワフスキ(Witold Lutosławski, 1913 - 1994)だった。派手さは無いものの真正な佇まいに感じ入った。これは一般的な知名度からすればほぼ妥当なところと思われる。それほどつねに耳にしていた現代音楽作曲家だった。それにくわえ、私が知らなかっただけかも知れないが、かのポピュラーな人気をもかち得た傑作交響曲第3番「悲歌のシンフォニー」を書いた作曲家ヘンリク・ミコワイ・グレツキ(Henryk Mikołaj Górecki,1933- )もいる。ペンデレツキと同い年だ。この二人よりほぼ一回り上にカジミェシュ・セロツキ(Kazimierz Serocki、1922 - 1981)がいる。これらは私が知っている、いや聴いていた作曲家を思いつくまま(すべてブログに投稿登場している)に上げたに過ぎないのだけれど。そんな中、図書館のネット借受(公共物によくある取り扱いの乱雑で、解説書が失われてしまっている)した今日取り上げるCD『ポーランド3大作曲家 ピアノ協奏曲集』に収録されているアンジェイ・パヌフニクSir Andrzej Panufnik, 1914 - 1991)は、イメージ 3ルトスワフスキとほぼ世代を同じくするのに、あまり馴染みがなく記憶に残っていない。どうしてなのだろう。放送等で聴いているはずなのだけれど。収録されている61年作曲の作品もよく出来ているのに・・・。ま、いくぶん古典的な雰囲気が支配しているのではあるけれど、しかしそれで終わっていないところがまさしくポーランドといえようか、陰影が深いのだ。しかし時代的に損をしてきたといった面がないではない。つまりはトレンドな音響作りに必ずしも乗っかった作風ではないということで。とはいえ、音色の多彩な展開、洗練度、完成度、作品に貫徹する緊密な精神性つまりは、その表出としてのオーケストレーションの見事さには、ヴィトルト・ルトスワフスキにその功譲らなければならないようだ。そうしたことどもは、収録されている87年(ルトスワフスキ74才)のピアノ協奏曲でその凄みと見事さを聴くことが出来る。さて、最後三人目のポーランドの作曲家とは、戦後生まれの、といっても政治社会体制はいまだ社会主義の世であったけれど、ともかく上記二人との時代的隔たりを大きくする作曲家シマンスキ Paweł Szymański (1954-) 。こちらは94年に作曲された作品。先の二人の先輩作曲家よりは、イメージ的には保守的でさえある。ネオロマンティシズム、プラス、ミニマルといったところか。聴きやすく、親しめる。しかし、抒情イメージ 4のなか、しっかりと精神に根は生えている。だからこそ!ポーランド!?。

                    Paweł Szymański→

ポーランド3大作曲家 ピアノ協奏曲集』
1. ピアノ協奏曲(パヌフニク)
2. 同(ルトスワフスキ)
3. 同(シマンスキ)