yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

スロッビング・グリッスル『D.o.A: The Third and Final Report 』(1978年)。手作り、アナログ電子変換サウンド、ノイズであるがゆえの感性の人間臭さがおもしろい。

イメージ 1

Throbbing Gristle - Hamburger Lady

         

イメージ 2現代音楽とヨーロッパアヴァンギャルド・フリージャズを主に聴いていた身にとって、70年以降のプログレッシヴロックと称されるものの動向はやはり刺激的なものだった。戦後の電子技術の飛躍的発展による、現代音楽の開発獲得した音色創造の果実が斯くポップス世界にまで果敢に結実しているかといった印象は、興味を抱くに十分だった。その意味でクラフトワークの出現は、その後のテクノ、ノイズミュージックの大きなウネリの先鞭となったといっていいのだろう。拙ブログにもすでに≪ドイツ・プログレッシヴロック「クラフトワークKraftwerk」。アイデアの面白さと、ひらめきの手作り電子アナログ・ロックヒューマンサウンド2枚組。≫として投稿している。タンジェリンドリームクラウス・シュルツなどのアナログシンセサイザーを使っての大掛かりなオーケストラルパフォーマンス志向とは違って、こちらは先のクラフトワークのタイトルにあるように≪アイデアの面白さと、ひらめきの手作り電子アナログ・ロックヒューマンサウンド≫、いわば現代音楽が切り開いた新しい音色探求ともいえるミュージックコンクレートのコンセプトに近く、身近な電子アナログ機器、その操作から生まれる意想外のノイズや、効果を刺激的にサウンドとするといえようか。なにあろう、このノイズ等の非音楽要素を大胆に楽音として取り入れる画期をなしたのはジョン・ケージだった。もちろんそうした試みは未来派ルイジ・ルッソロたちが新芸術運動の一環として行ってはいたが・・・。そうです。ダダであった。音楽史上とことんダダしたジョン・ケージ。その彼が切り開いた芸術創造の自由の沃野を軽やかに突き進んで行ったのがテクノ、ノイズ(インダストリアルなぞという名称づけのあることなどつい最近知ったばかり)ロックだったと大雑把に言えるだろうか。その際立つグループのひとつが今日取り上げるスロッビング・グリッスルだ、としてもいいのだろう。先日投稿した≪スロッビング・グリッスル『The Second Annual Report』(1977)。ノイジーな混沌サウンドへの情念的志向。現代音楽を聞いていた身にとっても間違いなく刺激的な一枚だった。≫そのアルバムに次ぐ2作目といわれているのが、今日取り上げるアルバム『D.o.A: The Third and Final Report 』(1978年)。一年違いでのアルバムリリースだから、その音作りには変わるところはない。言葉が紡げず繰り返しで情けないことだけど≪ノイジーな混沌サウンドへの情念的志向。現代音楽を聞いていた身にとっても間違いなく刺激的≫であり、時代的、技術的制約のしからしむる?手作り、アナログ電子変換サウンド、ノイズであるがゆえの感性の人間臭さがおもしろく聴けるのだ。


『D.O.A: The Third and Final Report of Throbbing Gristle』(1978年)

1. I.B.M.
2. Hit by a Rock
3. United
4. Valley of the Shadow of Death
5. Dead on Arrival
6. Weeping
7. Hamburger Lady
8. Hometime
9. AB/7A
10. E-Coli
11. Death Threats
12. Walls of Sound
13. Blood on the Floor