yuki-midorinomoriの日記

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ヤン・ガルバレクJan Garbarek『SART』(1971)。澄明なサウンドが支配する北欧の洗練のフリージャズ。

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Silence - Jan Garbarek,Egberto Gismonti,Charlie Haden

          

イメージ 2北欧はノルウェーのサックス奏者ヤン・ガルバレクJan Garbarek (1947 - )のアルバム『SART』(1971)を今日は取り上げよう。たしかにこのアルバムを聴く限りではヤン・ガルバレクのサックスは謂われているところのコルトレーンの影響大であることは想像がつく。しかし、そのサウンドはひじょうに澄明である。それがいっとうの特徴だろう。まあ、北欧を出自とするというその北欧へのアンチョクな思い込みのイメージがそうさせているのではと思われるだろうけれど、そうではない。このアルバムの支配するトーンは間違いなく、フリーキーに激することなく落ち着き払ってクリアーだ。とはいうものの、このアルバム一枚しか所蔵していないことを顧みるに、安定したインテリジェントな澄明な音作りが、たぶん物足りなかったのだろう。激する咆哮、迸り疾走する激情のアヴァンギャルドに入れ込んでいた若き身には、それゆえに、リリース当時評判はよくてもそれ以上の追っかけとはならなかったようだ。「破壊しか創造の端緒になりえない」(ミヒャエル・バクーニン)の美学だった。無秩序の煌く光彩。構成し、作る仕組みより<こわす仕組み>、≪新しく合成された分子は、つくられたとたん分解されはじめる。なぜなら溜めること・留めることは生命にとって破滅を意味するからである。酸化、損傷、変異。自然界のプレッシャーは様々な形で細胞の分子を損なっていく。止まることなくそれを分解し、排除し続けながら更新すること。その流れを維持すること、それが生きているということなのである≫(福岡伸一)。相当以前、やはりFM放送で、何の曲だか今もって分からないのだけれど、ヤン・ガルバレクの宗教的ともいえるスピリチュアリティ溢れるサックスのゆったりとした神秘的ともいえるソロが流れていて、印象強くし記憶にとどめていた。それが今回登場のきっかけといえば言える。もちろん、ふつう謂うところのスイング、ノリとかを期待してはあてが外れる。あくまでもフリージャズであり、澄明な音色展開、サウンドが支配する北欧の洗練のフリージャズであるといっておこう。



『SART』(1971)


1. Sart
2. Fountain of Tears, Pt. 1-2
3. Song of Space
4. Close Enough for Jazz
5. Irr
6. Lontano


もっとJan Garbarekを知りたい方に、推奨のサイト――
http://www.geocities.jp/ecmlistener/musicians1/garbarek.html Jan Garbarek