yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ベッツイ・ジョラスBetsy Jolas 『STANCES』(1978)ほか。≪洗練された詩的感情≫、音の緊密な処理、艶やかで煌めく多彩な音色展開。

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Jolas- Piano Concerto "Stances pour Piano et Orchestre" (1/3)

            

Betsy Jolas
イメージ 2国際的に活躍している女性作曲家って、いてるのかなと思っていたけれど、ど忘れしていました。拙ブログにすでに登場している二人を忘れていました。フィンランドカイヤ・サーリアホと、旧ソ連ソフィア・グバイドゥーリナと謂う傑女を失念していた。というのは、今日仕事終えての帰宅途上、自動車のラジオから流れていたわずか5分ばかりのピアノ小品。これがスペクトル楽派の流れで造形された美しく深い音色の余韻湛えたもので、ナルホド、ウン、イイナーとひとりごちて聴き入っていたのがサーリアホの作品「バラード」だった。その時にそうそう、とばかりに先のふたりの名前が思い出されたのだった。このふたりに、はたして割り込めるのかどうかは、浅学にして私には分からないが、今日取り上げるフランスのベッツイ・ジョラスBetsy Jolas (1926‐)も優れた作品を書いている女性作曲家のひとりだ。(生年を見るとブーレーズの1925年と一才違いでしかない。)ハイティーンまで親の仕事の都合?でアメリカで教育を受け、本格的に音楽を修学するためにフランスへ戻ったという経歴のよし。ところで、いわばフランスの主流を歩んできたといってもいい、トータルセリエール以後の、多彩豊穣でセンシティヴな厚みのある音色展開の見事さは、やはり≪71年から74年にかけては、母校でメシアンのクラスを引き継ぐ。75年、楽曲分析、78年には作曲も指導。≫(公演案内より)と謂う実力を示すものといえるのだろう。フランスのある著名な評論家は、この作曲家の若き日の登場を評して≪音列作法後の傾向・・・「ゆたかな創意、洗練された詩的感情とこのうえなく優雅な文体とを、なりひびく音の成りゆきの処理・・・(クロード・ロスタンClaude Rostand (1912 – 1970) ≫と述べているそうである。たしかにたしかに・・・。音の緊密な処理、艶やかで煌めく多彩な音色展開、すべて一流を示している。これは私の長年の鑑賞経験から来る勘でしかないけれど。いいアルバムだ。


収録曲――
「STANCES pour piano et orchestre」(1978)
「POINTS d’aube pour alto et 13instruments a vent」(1971)
「J.D.E. pour 14 instruments」(1966)



http://www.betsyjolas.com/ betsy jolas オフィシャルサイト
http://musique-art-vie.up.seesaa.net/image/bj_prog.pdf betsy jolas



Jolas- Points d'Aube (1/2)