yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ジークフリート・パルムの『チェロ・リサイタル』(1974)。冷厳寡黙に佇むウェーベルンは、やはりすごい。わずか2曲でトータル4分38秒。

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Nomos Alpha (Iannis Xenakis), part I

          

イメージ 2今日いつもの如く仕事帰りの車中にて、NHK・FM放送≪ベストオブクラシック -第1626回N響定期公演- 【ゲスト】西村朗≫を聴いた。もちろん途中からではあったが。えらく迫真のヴァイオリンがオーケストラをバックに聴こえてきた。凄いもんだなと聴いていたら、放送後そのヴァイオリンが諏訪内晶子であることが紹介された。そしてすばらしいスケールと迫力で音響していた作品は、あの傑物、シュトックハウゼンと60から70年代にかけて行動を共にしていたハンガリーの作曲家エトヴェシュ(Eötvös Péterrel, or Peter Eötvös, ペーテル・エトヴェシュ、ペーター・エトヴェシュ、1944 - )のもので、自作自演の世界初演だった。曲名は「セブン(コロンビア宇宙飛行士への追悼)-ヴァイオリンとオーケストラのための」で、そのものズバリ≪スペースシャトルコロンビア号が2003年2月1日の帰還飛行中にテキサス州上空で空中分解し、搭乗員7名全員が死亡した事故≫への追悼として作曲されたよし。これはすばらしかった。もっとも音響処理や、散見する東洋的フレーズに思わずこれは譚盾(Tan Dunタン・ドゥン), 1957 - )かと思わせたが・・・。厚みのある豊潤な音響スケールは日本作品にはないものだ。それはともかく、先にいったように諏訪内晶子のヴァイオリンソロが特筆ものだった。世界の!といってもいいくらいすばらしかった。と前振りはこれくらいにして、本題。今日の取り上げるアルバムは、現代音楽演奏のスペシャリスト、チェロのジークフリート・パルムの『チェロ・リサイタル』(1974)。このパルムのアルバムは既に≪リゲティ『チェロ協奏曲』(1966)、ペンデレツキー『チェロと管弦楽のためのソナタ』(1964)ほか。「沈黙をもって語りかける」「良心」の声、「本来的存在」としての実存の真正の響き。≫とタイトルして一枚投稿している。ということで、今回は二枚目となる。それにしても、レコード両面トータル約50分の中に、7人ものさまざまなスタイルの現代音楽の作曲家作品を詰め込んでいる。はてさて、どう扱ったらいいのだろう。

1. Cello Sonata (1914) for violoncello and piano - Anton Webern (1:57)
2. Nomos alpha (1965) for violoncello solo (dedicated to Palm) - Iannis Xenakis (14:25)
3. Three little pieces op. 11 (1914) for cello and piano - Anton Webern (2:41)
4. Unguis incarnatus est (1972) for piano and cello - Mauricio Kagel (5:30)
5. Vier kurze Studien (Four short Studies) (1970) for cello solo - Bernd-Alois Zimermann (2:17)
6. Capriccio per Siegfried Palm (1968) for cello solo - Krzysztof Penderecki (6:47)
7. Music for cello and piano (1955) - Earle Brown (8:05)
8. Gliss s (1970) - Isang Yun (14:02)

この総花的な企画。ま、いろいろ聴けて便利で、お得かもしれないけれど。疲れます。いや、それ以上に紡ぐことばが焦点定まらない。なにはともあれ、やはりウェーベルンだ。2曲総時間4分38秒。いっさいの過剰を排したこの驚くべき凝縮と緊張感、その放つ光彩。まったく謂いようもなく美しい。その次はアール・ブラウン。ワイドレンジに空間を形成しエキセントリックかつヴィヴィッドな動きと音色展開を見せる音たち。ダイナミズムに聞き惚れることだろう。機能的な音たちの生き生きとしたサマは見事だ。ここにも精神の弛緩は無縁だ。ウェーベルンと同質を聴くことになるだろう。そして次に、イサン・ユンの民族精神とするどい緊張感を湛えた前衛なるチェロが響く特異な世界。ここにも一瞬たりともの精神の弛緩はない。民族精神が起っている。厳しい・・・ということだ。



Siegfried Palm, Aloys Kontarsky - Webern*, Xenakis*, Kagel*, Zimmermann*, Penderecki*, Brown*, Yun* - Musik Für Violoncello (Und Klavier) - Siegfried Palm · Aloys Kontarsky

Tracklist:
A1 Anton Webern - Cello Sonata 1:57
A2 Iannis Xenakis - Nomos Gamma 14:25
A3 Anton Webern - Drei Kleine Stücke Op. 11 2:41
A4 Mauricio Kagel - Unguis Incarnatus Est 5:30
A5 Bernd Alois Zimmermann - Vier Kurze Studien 2:17
B1 Krzysztof Penderecki - Capriccio Per Siegfried Palm 6:47
B2 Earle Brown - Music For Cello And Piano 8:05
B3 Isang Yun - Glissées 14:02

Credits:
Cello - Siegfried Palm
Composed By - Anton Webern (tracks: A1, A3) , Bernd Alois Zimmermann (tracks: A5) , Earle Brown (tracks: B2) , Iannis Xenakis (tracks: A2) , Isang Yun (tracks: B3) , Krzysztof Penderecki (tracks: B1) , Mauricio Kagel (tracks: A4)
Piano - Aloys Kontarsky


Siegfried Palm plays Kagel Unguis incarnatus est