yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

エルンスト・クルシェネク「Aulokithara for oboe, harp & tape」(1972)ほか。音楽をシンプルに愉しんでますといったところだろうか。

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Glenn Gould plays Ernst Křenek's Op.92

           

イメージ 2先日のシュテファン・ヴォルペと同様、ナチスドイツの騒乱を避け、米国にその活動、生活の拠点をうつし帰化したオーストリアの作曲家エルンスト・クルシェネク(Ernst Krenek, 1900 - 1991)のアルバムをきょうは取り上げよう。≪クルシェネクの作風は、生涯を通じて(特に彼が同時代を代表する作曲家として認知されていた前期の作品を中心に見た場合)変化に富み、ある意味ではストラヴィンスキー以上の「カメレオン作曲家」と言いうる。≫(WIKI)との評価を得る。とはいえ、やはりこの世代の作曲家、とりわけドイツ、オーストリア圏の若き精鋭は、シェーンベルク、ベルク、ウェーベルン新ウイーン楽派の無調、十二音列主義を受け入れ、その影響下に身を置いたとえよう。戦後の米国の作曲界のすぐれた部分をかたちづくった礎となったのがこうしたヨーロッパの戦火、迫害から逃れてきた先進の知性だった。ところで、こエルンスト・クルシェネク(昔はクシェネックと表記していたのだけれど)は≪1922年に美術家アンナ・マーラーと出会い、その母アルマ・マーラーより、マーラーの遺稿《交響曲 第10番》を完成させるように打診されるが、第1楽章と第3楽章の校正・改訂を行なっただけで、それより先には進まなかった。1924年にアンナと結婚するも、1年たらずで破局を迎えた。≫(WIKI)というエピソードのあることを知った。もう既にこうした事柄を承知のクラシックファンは多いことと思われますが・・・。ま、そんなことはともかく≪新しい作曲技法を用いた後期作品においてさえ、自然な抒情性や愉悦感が保たれており、新ウィーン楽派の作曲家の中では、誰よりもアルバン・ベルクに近い。≫(WIKI)とあったが、確かに、軽やかで、ゴテゴテしていない。収録作品が室内楽ばかりだからよけいにそうした印象がするのかも知れないし、新ロマン主義の革新であった新ウイーン楽派の無調、十二音列主義が過剰を排した音楽を志向したということの自ずからなる表現であるのかも知れないが。
クルシェネク本人がピアノを弾き自作自演している「Echoes from Austria op.166」(1958)は望郷の念でもあるのか古典的でシンプルで美しい作品だ。



収録曲――

「Aulokithara for oboe, harp & tape」(1972)
「Wechselrahmen for soprano & piano op.189」(1965)
「Three Sacred Pieces for chorus op.210」(1971)
「Echoes from Austria op.166」(1958)
ジャケットデザインはクルシェネク本人


http://artofthestates.org/cgi-bin/piece.pl?pid=105 Art of States ネット公開作品 : Ernst Krenek String Quartet No. 8, op. 233 (1980-1981)