yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ルイス・デ・パブロ「イニシャティバスIniciativas」(1966)ほか。メリハリの効いたダイナミックで動的な音色の変化。60年代という時代を表徴する典型的な音群、響きには緊張と清新が漲っている。

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LUIS DE PABLOS. LA ESENCIA DE LA MUSICA

         

イメージ 2これまた、先日のスペインの作曲家クリストバル・ハルフテルと同じく、エネルギッシュなクラスター音塊で音響空間にメリハリをつける、いわば油彩画のごとき質感をもって聴く者に迫ってくる風情のルイス・デ・パブロLuís de Pablo (1930-)がきょう登場する作曲家。
パブロ・ピカソという存在のある所為か名前聞くだにスペインといったところだろうか。
このふたりの作曲家の生年をみると、いまやスペイン作曲界の大御所であると称されても年齢的にも不思議はない。もちろん実績等があっての地位なのだろうけれど。
この二人がスペインの現代音楽作曲家だとしてドイツ・ヴェルゴWERGOレーベルから個人作品集のアルバムをリリースされたのも、作品の質あってのことは言うまでもないことだろうけれど、戦後の現代音楽の推進のメッカともいえるダルムシュタット夏季現代音楽講習会への参加、そこで勝ち得た評価ゆえのことなのだろう。
英文WIKIには1959年のその講習会にて、御大ブーレーズやマデルナの指揮によってパフォーマンスされたとある。
≪1959年にはマドリッドで<テンポと音楽>Tiempo y Musicaというグループを組織して、スペインや海外の室内楽作品を積極的に紹介した。1960年にはスペイン青少年音楽協会Jeunesses Musicales Espagnolesの会長となったり、またマドリッド大学の音楽部長に就任するなど、若くして、スペイン音楽界の新しい発展のために大きな活躍をつづけてきた。1964年にはマドリッド現代音楽ビエンナーレ音楽祭の音楽監督になり、その後は、このLPでも演奏している“アレア器楽アンサンブル”を組織したりマドリッド電子音楽スタジオを創設したり、スペインの現代音楽のアクティヴィティの中心的な存在として活動をつづけている。≫(解説・秋山邦晴) とある。
まさに意気軒昂といったところだろうか。
メリハリの効いたダイナミックで動的な音色の変化。(動きの確保のためのルイス・デ・パブロ提唱する音の密度なるコンセプトで構成)に収斂する響きのスタイルとはいえ、時代の典型を聴くという意味でも捨て置けない一枚だろうか。おしなべてこの時代、響きには緊張と清新がみなぎっていると言えるのかも・・・。同国スペインの芸術家ダリや、ピカソを思う所為かこの作曲家や、先のハルフテルも濃いことこのうえない。私生活のほどは知らないが。


収録作品――
「イニシャティバスIniciativas」(1966)
弦楽四重奏のためのエヘルヒヒオEjercicio para cuarteto」(1965)
「モドゥロスⅢModulos(レアリザシオンⅠ)」(1967)
「モドゥロスⅢModulos(レアリザシオンⅡ)」(1967)
「オーケストラのための墓Tombeau pour Orchestra」(1962-63)