yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

トリスタン・ホンジンガーとギュンター・クリスマンのデュオ『Earmeals』(1978)。流麗さや音色の美、いわゆる音楽的な美などを放棄した徹底的に演奏に遊び戯れることを善しとする風情、まさにダダ。

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Honsinger / Parker / Altena - Company 1 - No North (1976)

            
            もちろん投稿音源のものではありません。

Tristan Honsinger
イメージ 2根っからのフリージャズマン二人によるデュオアルバム『Earmeals』(1978)がきょう取り上げるアルバム。
奇天烈な個性の持ち主、チェロのトリスタン・ホンジンガー Tristan Honsinger(1949-)と、ドイツフリージャズの硬派(顔つきからしてそのようなイメージ)のトローンボニスト、ギュンター・クリスマンGünter Christmann(1942-)のフリーパフォーマンス。
ズーッと以前にデレク・ベイリーの絡みで≪デレク・ベイリーと奇嬌なトリスタン・ホンジンガー の異形のデュオ≫とタイトルして投稿しているが、その中で
≪このチェリストのトリスタン・ホンジンガーTristan Honsinger (1949-)なるプレーヤー、まさにバガボンドである。
1949年アメリカのバーモントに生まれ、9歳よりチェロを習い始め音楽学校での正規の教育を受け、さまざまな教師につきはしても混乱増すばかりで方向定まらず、そうしたなかで出くわしたのが、このブログでも採り上げたけれどもINCUSより出されたイギリスフリージャズの特筆すべき成果といえる『Topography of the lungs』であったそうである。
エヴァンパーカー、デレクベイリー、ハンベニンクのトリオによるこのすばらしいフリーインプロヴィゼーションに影響されて、この世界へと投企したことを知りいささか興味深いものがある。
この名作でのフリーインプロヴィゼーションとの出会いが以後進むべき途を定めたようである。そしてのち音楽手合わせの旅、フリーミュジシャンとしてバガボンドとなる。≫と紹介した。
ともかく、幼児っぽい発語をともなう口三味線と派手なアクションで≪その演奏は視覚的にも印象的≫のようだ。もちろん音源を聴いているだけでそのサマ目に浮かぶようでもある強烈さである。
音楽の流麗さや音色の美、いわゆる音楽的な美などいっさいを放棄した、徹底的に演奏に遊び戯れることを善しとするといった風情の風変わりさである。まさにダダ(駄々)。
トローンボーンのギュンター・クリスマンもいつもの力強い演奏でのインタープレイではなく、トリスタン・ホンジンガーの遊び心に満ちたパフォーマンスにイメージ 3引きずられていいソロを聴かせている。
まるで赤ん坊のバブバブ(喃語)語の応酬、やり取りのようでもある。あえて言うなら、このアルバムではトリスタン・ホンジンガーの遊び心のコンセプトの勝利であり、それゆえの聴き応えのあるデュオパフォーマンスとなっていると言える。
音楽を敢えて美しくあるべし、作ろうとはせず、その手前で遊ぶというスタンスがひじょうにユニークで感興を呼ぶのだ。まさに破天荒である。

                  Günter Christmann →

Moers Music 01040 『Earmeals』

http://www.efi.group.shef.ac.uk/musician/mhonsing.html Tristan Honsinger
http://www.efi.group.shef.ac.uk/musician/mchrist.html Günter Christmann
Tristan Honsinger, cello;
Günter Christmann, trombone, double bass.

1.MEAL No. 111 (06.40)
2.MEAL No. 23.10.49 [TH solo] (05.05)
3.MEAL No. 0,0003 (02.50)
4.MEAL No. 0511/732936 (03.30)
5.MEAL No. 1.10.09 (06.45)
6.MEAL No. 29.11.42 [GC solo] (05.35)
7.MEAL No. 5.5.51 (02.25)
8.MEAL No. 36/38 (02.05)

Recorded during the Hohe-Ufer-Konzerte in Hannover and Wolfsburg on 3 and 7 May 1978. Cover design (reproduced above) by Jürgen Pankarz; photograph by Ralph Quinke.


Günter Christmann trb :Vario 33 @ Moers Festival 1992