yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

グレン・グールド『バッハ・トッカータ集Vol.Ⅰ』(1979)。

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Glenn Gould plays Bach Toccata in D minor BWV 913 (1/2)

            

グールド愛用の使い古された椅子
イメージ 2【短い時間、霊安所にて友人や仕事仲間の弔問を多数受けたあと、遺体はマウント・プレザント霊園の母親の墓に葬られた。その墓石の傍らには、二色の御影石で作られた小さなプレートが埋め込まれた。グランドピアノをかたどった輪郭が彫り込まれている。その輪郭の内側には彼の生涯と没年、そしてバッハの≪ゴルトベルグ変奏曲≫のアリアの最初の三小節が記された。・・・十月十五日、トロントにある美しいゴチック様式の聖パウロ・アングリカン教会において、正式の追悼式が開かれた。・・・追悼式には音楽も組み込まれ、バッハ、ベートーヴェンブラームスのなどが演奏されたが、その頂点にあったのはモーリン・フォレスターの見事な独唱で、≪マタイ受難曲≫のアリア「主よ憐れみたまえ」である。しかし、もっとも忘れられない瞬間は、追悼式の最後に、ヴィンセント・トヴェルとCBCの技術者たちが会場に設置したラウドスピーカーから、グレンの最新録音≪ゴルトベルグ変奏曲≫の「アリア」が流れたときである。録音からはハミングが聞こえてきた。彼は最後の言葉を語る機会を与えられたと同時に、自分の葬儀に参列する夢もかなえたのである。やがてバッハの霊妙なる音楽が終わるとともに、恐ろしい死の予感と宿命的な破滅の恐怖は、グレンの意識の中から消え去った。】(「グレン・グールド伝」ピーター・F・オストウォルド、筑摩書房
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グレン・グールド『バッハ・トッカータ集Vol.Ⅰ』(1979)




Johann Sebastian Bach - Matthäus Passion (BWV 244)