yuki-midorinomoriの日記

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沖至『ミラージュ』(1977)。音楽性豊かな素晴らしい熟度のパフォーマンスの愉楽に浸れるアルバム

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Itaru Oki trumpet :To free from bondage by Alan silva Vid C.silva part2

         

イメージ 2レコード解説(悠雅彦)によると、先日≪沖至『幻想ノート』(1975)。ユニットの成熟。すばらしいコレクティヴパフォーマンスが熱い。言語疾走する詩人吉増剛造とのコラボも聴きもの。≫とタイトルしてブログ投稿した、その『幻想ノート』(1975)の次に出されたアルバムのよし。沖至『ミラージュ』(1977)が今日取り上げる当のアルバム。のっけに結論。すばらしい。プロの評論家・悠雅彦が、その解説のなかで≪・・・いずれにせよ、4人が一体となったサウンドの豊熟さにぼくは酔いしれた。この4者の高い音楽性と人間味が一体となってかもしだす芳醇な香りは、まさしくある境地に到達した創造的なアーチストだけが発散しうるものと言っても、決して言い過ぎにはならないと思う。そこに日本の心を見出すのは果たしてぼくだけだろうか。≫と述べている。このことばはストレートに受け取ってもよい。それほどに、熟した味わいのあるパフォーマンスに愉しくなるアルバムだと言っておこう。沖至のトランペット、加古隆のピアノ、そしてここ最近たてつづけに投稿記事に出てくるベースの翠川敬基、それにパーカッションの富樫雅彦という4人のユニット。これらの名前をジャケットに確認するだに期待感を抱かせるに十分といえよう。期待に違わぬ、音楽性豊かな上質のフリーパフォーマンスが堪能できる。ユニットの中では名実ともに若々しいピアノの加古隆が現代音楽で培われたイディオムをインプロヴィゼーションの中に解き放ち清新な魅力あるパフォーマンスを展開しコンボに艶と音楽の妙味、品性を与えている。もちろんリーダーの沖至のトランペットもますます芳醇の度加え、滑らかに快走している。このブログにもすでに登場している初期の≪トランペッター沖至トリオの『殺人教室』(1970)≫よりもその成熟の度はすばらしい。前作の『幻想ノート』(1975)鑑賞記に綴った≪・・・そのアルバムより時の隔たること5年。沖至個人の成熟というより、ユニットとしてのフリーフォームの洗練、ゆとりを強く感じさせるアルバムに仕上がっている。大人になったのだ。先のアルバムでの翠川敬基(b/piano)、田中穂積(ds)に加えこのアルバムでは藤川義明(as)が名を連ねている。この3者がおのおのすばらしく達者なフリーパフォーマンスを聴かせてくれている。リーダーの沖至が霞むほどといえるぐらい熱い。これ自体が聴きものともいえるほどのすばらしさだ。『殺人教室』(1970)に較べ、はるかにすばらしいフリーコレクティヴパフォーマンスだ≫とのことばに加え≪4者の高い音楽性と人間味が一体となってかもしだす芳醇な香りは、まさしくある境地に到達した創造的なアーチストだけが発散しうるものと言っても、決して言い過ぎにはならない≫という評論家・悠雅彦の評言を素直に受け取り肯んじることが出来よう。音楽性豊かな素晴らしいパフォーマンスの愉楽に浸れるアルバムと括って擱えよう。



沖至『ミラージュ』(1977)

1. チトン通り11 11 RUE TITON
2. ミラージュ MIRAGE
3. スカイ・ズー SKY ZOU
4. シルキン・レイン・オン・ロータス・ブロッサム
SILKIN RAIN ON LOTUS BLOSSOM
5. ピット・アウト PIT OUT



以下は勝手ながらネット通販CDジャーナル記事よりの引用掲載です。

沖至
Oki Itaru (オキ・イタル)

1941年9月10日兵庫県須磨生まれ。大阪工業大学卒業。ジャズ・トランペッター。スターダスターズ、峰厚介(ts)グループなどを経て、69年富樫雅彦ESSGに参加し注目される。同年自己のグループを結成。70年に初リーダー作『殺人教室』をリリース。70年代半ばより活動の拠点をパリに移す。アルバムは86年『オペラ・ナイト』、96年『沖至6重奏団コンサート・ウイズ・ストリングス』、サニー・マレー(ds)らと共演の2001年『パリ往来』などがある。

加古隆
Kako Takashi (カコ・タカシ)

1947年1月31日、大阪府生まれ。東京芸術大学・同大学院作曲研究室で三善晃に師事した後、71年にフランス政府給費留学生として渡仏。パリ国立音楽院オリヴィエ・メシアンに師事。在学中に即興ピアニストとしてデビューし、ヨーロッパ各地で演奏活動を行なうなど国際的音楽家として評価を高めた。舞台、オーケストラなどの委嘱作の作曲および演奏に、クラシック、現代音楽、ジャズの要素を包含した独自の音楽スタイルを確立している。

富樫雅彦
Togashi Masahiko (トガシ・マサヒコ)

1940年3月22日東京生まれ。14歳の時に松岡直也トリオに抜擢されプロ・デビューした天才肌のドラマー。その後八木正生渡辺貞夫高柳昌行らのバンドで活動。不慮の事故により70年代以降は車椅子の生活を余儀なくされたが、独自のドラム・セットを考案し、独特の間を活かした演奏によって新境地を開拓した。2000年6月には渡辺貞夫、日野晧正、山下洋輔佐藤允彦など多くの仲間に囲まれ、音楽生活45周年記念コンサートを開催。2008年8月22日、心不全のため67歳で死去。

翠川敬基
Midorikawa Keiki (ミドリカワ・ケイキ)

1949年5月10日長野市生まれ。チェロ奏者。東京経済大学卒業。69年より活動を始め、沖至(tp)、富樫雅彦(ds)、佐藤允彦(p)がらん堂、ナウ・ミュージック・アンサンブル、F.M.T.、イースタシア・オーケストラなどに参加。75年富樫(ds)、佐藤(p)とCPUを結成。80年代後半より自己のグループ“緑化計画”を中心に活動し、2003年『arbor day』リリース。ジャズからクラシック、現代音楽まで広く活動している。