『チベット密教 聲明の驚愕』。人間技を超越した驚くべき超低音で唱えられるチベット声明(しょうみょう)。地下の冥界を這うようだ。
Tantra of Gyuto
きょうは人間技を超越した驚くべき超低音で唱えられるチベットの、お経・声明(しょうみょう)。これぞ仏への帰依にすべてをなげうつ修行の果てに克ち得たといった趣の崇高と荘厳の読経といえようか。こういうのを聴くと人間のやることには(とりわけ観念世界)極端、極限への志向性が抜きがたく存在するものと思わざるをえない。日本の声明(しょうみょう)とは、その読経の声の凄みにおいてずいぶんと違うものだ。これと較べれば(風土的な自然条件の違いのせいかどうか)日本の声明(しょうみょう)は土俗的オドロオドロしさがそがれている分ソフィスケートされたといった印象がする。それとチベットの声明(しょうみょう)は天上のイメージより地下の冥いイメージであり厳しさが際立つ。だからこそといえるのかチベットには冥界巡り、死後の解脱のための教えを説いた「死者の書」がある。世に、驚き、不思議は数あれど、まさに百聞は・・・の類の人間の生み出した驚異であることは、聴けば納得されることだろう。それにしてもこのような音源を中古とはいえ身銭きって手にし、およそ53分耳そばだて聴くのだから偏奇ここに極まれりといったところだろうか。まさに我がブログ名の≪イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽≫であることは間違いない。
『チベット密教 聲明の驚愕』
http://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/edc8/deao/syomyo/index.html 音源・日本の声明(しょうみょう)
声明関連、投稿記事――
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Tibetan Ritual Sounds and Dance:Performed at Harvard Sanders Theater, Cambridge, MA