yuki-midorinomoriの日記

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菊地雅章・日野皓正クインテット『カウンターカレント』(2007)。過剰を廃し削ぎ落とした音の少なさの魅力。ポツポツと寡黙に音を紡いでゆく余裕と落ち着きはらったジャズ。日本の!熟成のジャズ。

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銀界(その弐)1970 silver world(2)

            

イメージ 2グレン・グールドのピアノ演奏時の口三味線の声はつとに有名だけれど、それはまだ優しい。きょう登場するジャズピアニスト、菊地雅章(きくち まさぶみ、1939 - )のそれはハッキリ言って唸り声だ。ところで、こんなに新しい、2007年に出された最新アルバム・CDがわが町の貸し出し棚にあるとは知らなかった。なんのはずみで所蔵されたのだろう。日野皓正菊地雅章クインテットの双頭コンボ(クインテット)による『カウンターカレント Counter Current』(2007)。とにもかくにも、日本のジャズもとうとう斯く高みまで来たかとの印象をもった。以前から、菊地雅章のシンプルで寡黙な音と<間・ま>がなんとも魅力で、好きなジャズピアニストのひとりだったけれど、このアルバムでもその魅力を存分に味わうことが出来る。過剰を廃し削ぎ落とした音の少なさの魅力。ポツポツと寡黙に音を紡いでゆく余裕と落ち着きはらったジャズ。余情引き連れたその寡黙な音のなんという静やかな、「在る」ことの主張。存在感。そして引き締まった音空間。すばらしい、大人のジャズとでも言いたくなるひとつの達成を聴くことになるだろう。日本の!熟成のジャズ。アルバムのデザインは端的にこのパフォーマンスを象徴しているといえるだろう。すばらしい。なるほど Counter Current!。



『カウンターカレント Counter Current』(2007)

日野皓正(tp)
菊地雅章(p)
マイケル・アティアス Michael Attias(as)
トーマス・モーガン Thomas Morgan(b)
ポール・モチアン Paul Motian(ds)

2007年6月録音

1.J.L.L.(Ver.1)
2.スカイ・オーヴァー・ザ・レイン・フォレスト Sky Over Rain Forest
3.ブルー・イン・イエロー Blue In Yellow (For Mark Rothko)
4.ミゼリー・オン・ザ・ハドソン Misery On The Hudson
5.メイキング・ザ・エレファント・ラン Making The Elephant Run (Ver.1)
6.メイキング・ザ・エレファント・ランMaking The Elephant Run (Ver.2)
7.J.L.L.(Ver.2)



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http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/37225994.html 節度と余情のパフォーマンス。ゲイリー・ピーコック菊地雅章『VOICES』(1971)

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/39024817.html <和>を奏でるデュオパフォーマンス。富樫雅彦『Song for Myself』(1974)


参考付録――