yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

雅楽、伶楽舎・ 芝 祐靖『陰陽師』。素晴らしい!。自然が起ちあがってくる息吹、息づかい気韻荘重を深く感じさせて秀逸だ。自然が吹き遊(すさ)んでいる。

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陰陽師Sound Trackより『一行の賦』

            
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イメージ 2数週間前のことだったと思うのだけれど、仕事をしているさ中、NHK・FMから流れていた雅楽を聴いて新鮮な印象をもった。で、ネットでその放送内容を検索したところ「伶楽舎芝 祐靖(しば すけやす、1935 - )」の「陰陽師」よりのものとあった。「伶楽舎」?。なんだそれはと、初めて知ったのだった。≪雅楽楽師の家柄≫で≪宮内庁楽部楽師≫を勤め≪1984宮内庁楽部退職≫して≪1985年雅楽団体「怜楽舎」音楽監督≫として雅楽の普及につとめるとあった。(ちなみにWIKI記事によると【廃絶された楽器や楽曲を復元する試みが行われている。これを総称して、「伶楽」(れいがく)ないし「遠楽」(えんがく)と呼ぶ。】とあった)なにはともあれ、その印象強く聴いた演奏をもう一度と、例の如く中央図書館のネット予約借受を検索したところ、「雅楽」でも「伶楽舎」でも「芝 祐靖」でもなく、「陰陽師」でヒットしたのだった。さっそく借りて聴いてみた。文句なしに、いや抜群に面白かったと先ずいっておこう。是非にとお勧めしたいアルバムであり演奏だ。演奏もいいのだろうけれど、録音がいい。雅楽特有の音がヘテロフォニックに立ち上ってくるさまがまざまざと云うように採録されているのだ。自然の息吹、息づかいの如くに雅楽管弦楽が荘重に鳴り響くのだ。(ほとんどの演奏が古典曲というのもいい)【≪まさに音がたちのぼるという印象を受けた。それは、樹のように、天へ向かって起ったのである。≫これは武満徹が1962年最初に雅楽宮内庁で聴いたときに綴った言葉だそうである。】とは≪静寂のなか繊細に起ちのぼって響く武満徹の雅楽『秋庭歌(しゅうていか)』(1973)≫とタイトルしての記事中に引用したことばだ。たぶんこれは誰しもが抱く雅楽の印象のように思える。そして武満徹2作目の雅楽の作品『秋庭歌(しゅうていが)一具』では次のようにも言っている。≪この雅楽のように特殊な形態のオーケストラは世に類例を見ない。それはかならずしも特殊な生を永らえたと謂うことに由来するばかりではない。純粋に物理的な見地において特殊であり、寧ろそれは奇異ですらある。だがそれがあの非現世的な魅惑に満ちた音響世界を創出しているのだ。凡そ高音に偏った楽器群、その極度に制限された機能、異質の音色の集合。雅楽は、西洋の調和の概念からは遠く隔たっている。だが、あの永遠や無限と謂うものを暗示する形而上的な笙の持続――それが人間(人)の呼吸と結びついていることの偉大さ――に対して楔のように打ち込まれる箏や琵琶の乾いた響き――それは笙や篳篥とは全く異なる時間圏を形成する―。そして、管楽器の、殊に篳篥の浮遊するようなメリスマ、それらの総てが醸成する異質性(ヘテロジェニー)は、私たち(人類)にとっては決して古びた問題ではない。≫。まさしく、旧くて新しいのだ。≪あの永遠や無限と謂うものを暗示する形而上的な笙の持続――それが人間(人)の呼吸と結びついていること≫という武満の言葉どおり、強烈な印象のする響きで、自然が吹き遊(すさ)んでいるといった風情なのだ。今日取り上げる芝 祐靖の「伶楽舎」による雅楽演奏を聴くとその感一層つよく思う。私はまったく知らないけれど、夢枕獏の原作小説「陰陽師」を漫画化したコミック作家・岡野玲子のプロデュースしてなった、「陰陽師」のイメージアルバムのよし。そのような呪術妖気めいたことを抜きにしても、このアルバムでの雅楽演奏は素晴らしい。自然が起ちあがってくる息吹、息づかい気韻荘重を深く感じさせて秀逸だ。雅楽への目が啓かれることだろう。CDは2枚組みで、もう一枚はなんと、ブライアン・イーノが自らの、原作「陰陽師」へのイメージによる音響をドローンを主体に制作している。



伶楽舎・ 芝 祐靖『陰陽師

ディスク:1
1. 双調調子(そうじょうのちょうし),品玄(ぼんげん)
2. 春庭花(しゅんでいか) 唐楽 舞楽
3. 黄鐘調調子(おうしきちょうのちょうし)
4. 拾翠楽(じゅっすいらく) 唐楽 管弦~揚眞藻(ようしんそう) 琵琶秘曲
5. 酒飲(さけをとうべ) 催馬楽(さいばら) 廃絶歌曲 呂歌(りょか)
6. 壱越調菅掻(いちこつちょのすががき)
7. 陵王乱序 唐楽 舞楽
8. 平調調子(ひょうじょうのちょうし)
9. 陪臚破(ばいろのは) 唐楽 舞楽
10. 飛鳥井 催馬楽 廃絶歌曲 律歌
11. 盤渉調調子(ばんしきちょうのちょうし)
12. 蘇合香(そこう) 唐楽 舞楽~青海波(せいがいは) 唐楽 舞楽
13. 太食調調子(たいしきちょうのちょうし)
14. 長慶子(ちょうげいし) 唐楽 舞楽
15. 二星(じせい) 雲珠(うず)

ディスク:2(ブライアン・イーノ
1. Star Gods
2. Six Small Pictures
3. Connecting Heaven to Earth
4. Little Lights
5. The Milky Way
6. Faraway Suns


http://www.jvcmusic.co.jp/m-serve/onmyoji/audio/index.html 上記「伶楽舎・陰陽師」試聴
http://reigakusha.com/ 伶楽舎ホームページ


Gagaku Batou「抜頭」