yuki-midorinomoriの日記

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サニー・マレイ『Sunny Murray』(1969)。1968年パリ五月革命真っ只中、フランスフリージャズ界の精鋭との熱きセッション。

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Sunny Murray Drums Solo (1968)

         

Sunny Murray
イメージ 21968年政治の季節。フランスはパリでのいわゆる五月革命ベトナム反戦および世界的な学生運動の沸騰を見た時代だった。もちろん芸術活動も熱かった。ことフリージャズに限って言っても共時的に燎原の火の如くムーブメントの火は燃え盛っていた。ドイツFMP,オランダICP,イギリスINCUS。そして、わが国では山下洋輔の登場があげられよう。さてきょうのアルバムは、その「五月革命」の騒擾のただ中、セシル・テイラーや、アルバート・アイラーらとの共演でその名を知られたフリー系ジャズドラマーのサニー・マレイSunny Murrayとフランスのフリージャズメン、フランソワ・テュスクFrançois Tusquesらとの熱きセッションが収められたもの。国営ラジオフランスのライヴ録音だそうだ。音楽は飢えたる者を救うことは出来るか?現実の変革に寄与できるか?などと喧しく政治に向き合うことに生真面目な時代だった。そうした思い入れで聴くことを迫るフリージャズドキュメントといえるだろうか。その後、人間解放の夢であった社会主義ソ連邦の解体、東西ベルリン、東欧社会主義国家群の雪崩打つ崩壊、中国の共産党一党独裁のもとでのなし崩しの資本主義化!?。世界はあまりにもドラスティックに信じ難い様相をていするに至ったのだった。思い入れも無く、ただ純粋に音楽だ、などと、この<熱さ>をかっこよく美しく聴くには、さまざまなイデオロギッシュな想いを胸に時代とともに歩みすぎている。政治大衆運動ひとつおこらないわが日本、ぬるま湯のこの冷めた世相は何なのか?。シニシズム(冷笑主義)の蔓延が何を帰結したかは直近の歴史の経験なのだけれど。


http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/45831524.html 1968年の喧騒と熱狂の政治動乱を扱ってスローガン、落書き等を素材にテープに歌ったルイジ・ノーノ(1924-90)の『NON CONSUMIAMO MARX』(1968)ほか。



『Sunny Murray』(1969)

Bass - Beb Guerin
Clarinet [Bass], Taragot - Michel Portal
Drums, Composed By - Sunny Murray
Piano - François Tusques
Producer - André Francis
Saxophone [Tenor] - Ken Terroade*
Text [Poem], Performer [Voice] - Hart Leroy Bibbs (tracks: B)
Trumpet - Ambrose Jackson , Bernard Vitet

Tracklisting:
A1.Angels And Devils (5:40)
A2.Hilarious Paris (5:40)
A3.Elephant's Dream (9:00)
B.Flower (15:30)

Whole recording of 8th December 1968 concert at Maison de la Radio's ORTF, during the "Jazz en scène" radio show on France Inter.



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http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/50452341.html 混沌・カオスの悦楽に壮快を覚える、変革、創世の余韻。フランス・フリージャズ界の先導者フランソワ・テュスクの『Intercommunal Music』(1971)