yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

幸田 聡子『ヴァイオリンで弾く・日本の抒情』(2003)

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Kawai Ikuko, Nishikiori Ken - Koujyouno Tsuki 荒城の月

           

「からたちのそばで泣いたよ みんな みんな やさしかったよ……の所がすばらしいですね。悲しくて、つらくて泣くうたはいくらでもあります。しかし“みんな みんな やさしかったよ”と泣いているところに白秋先生の偉大さが偲ばれます」(曲目解説・長田暁二より、サトウ・ハチローのことば)

イメージ 2三日三晩寝ずの看護とはよく言ったもので、月曜日の夕方頃から微熱にもかかわらず風邪の典型的な症状がわが身に襲い掛かり、すっかり体力、気力、おまけに知力?減退でまったくダウン。養生のためには一も二もなく睡眠とばかり、仕事も最小限に切り上げ、身を投げ出すように床に就いたまる三日だった。で、きょうはやっとの思いでのブログ投稿となった。WBCでの日本代表の勝利を確認して今綴っています。ところで、その病に伏せる直前、いつもの図書館ネット予約借受の順番がまわってきて手にしたアルバムがきょう取り上げるCD。「体力、気力、おまけに知力?」の減衰の中での鑑賞だったせいか、それとも、内容がそうさせたのか、ことのほか心に染み入る鑑賞となった。一枚は幸田 聡子(こうだ さとこ、1969 - )『ヴァイオリンで弾く・日本の抒情』(2003)と、もう一枚は世界的チェリストヨーヨー・マの『日本をうたう』(1983)だった。後者のヨーヨー・マの方は、編曲がいまや(民俗派)現代音楽の大御所で、拙ブログでも開設初期からよく登場している間宮芳生(みちお)であることを解説で知り、期待して聴いたのだけれど,あまりにも編曲に「凝り」(これは本人のことばだそうだ、そう言われなくてもその印象をもったのだけれど)過ぎて、抒情歌としての歌心が後退してしまって、つまらない作品になってしまっているのだった。旋律のもつ親しみやすさが吹き飛んでしまっているのだ。上手の手から水とはこういうことを言うのだろうか。はっきり言って、失敗作、駄作です。それにくらべれば、この幸田 聡子(私はこのヴァイオリニストのことは今回アルバムを手にし、投稿のためネット検索ではじめって知った演奏者だった。なんでも今、NHK・FM番組の「気ままにクラシック」を担当しているソプラノ歌手・幸田 浩子(こうだ ひろこ)の実姉だそだ。)のこのアルバムの方はまことに好感もてる演奏集となっている。ようするに、こちらは長きに愛されてきた抒情歌のもつ親しみやすさを失うことない編曲の妙と、哀切に歌いあげるヴァイオリンで清々しく音楽を愉しませてくれるのだ。スピーカーで聴いているとあまり気にならないけれど、ヘッドフォーンで聴くとイマイチの艶やかさと微妙な詰めの甘さを感じないでもないのだけれど(これはヘッドフォーンにありがちなことなのだろうか私にはわからないが。再生装置の問題か?)、歌心を愉しませてくれるには不満は無い。編曲は解説によると加藤真一郎との名が見える。で、これまた(ドシロウトゆえ知らないことだらけで)ネットを覗いてみたら≪連弾や2台ピアノの世界に新しい風を吹き込むピアノデュオ 瀬尾 久仁 & 加藤 真一郎 公式サイト≫があった。知らないところで才能のあるひとはゴロゴロいるものなんだなあと思った次第。(あの現代音楽のピアノスペシャリストのコンタルスキー兄弟のアルフォンス(弟)の方に師事とある)。ま、とにもかくにも日本の抒情愛唱歌を優しいこころで歌い上げ愉しませてくれた一枚だった。




幸田 聡子『ヴァイオリンで弾く・日本の抒情』(2003)

1. 故郷(岡野貞一)
2. 荒城の月(滝廉太郎)
3. 七里ヶ浜の哀歌(真白き富士の根)(インガルス)
4. からたちの花(山田耕筰)
5. 宵待草(多忠亮)
6. さくらさくら(日本古謡)
7. お菓子と娘(橋本国彦)
8. 月の沙漠(佐々木すぐる)
9. 浜辺の歌(成田為三)
10. 平城山(平井康三郎)
11. スキー(平井康三郎)
12. 中国地方の子守歌(岡山県民謡)
13. 城ヶ島の雨(梁田貞)
14. 四季メドレー:早春賦(中田章)~夏の思い出(中田喜直)~ちいさい秋みつけた(中田喜直)~雪の降る町を(中田喜直)
15. 椰子の実(大中寅ニ)
16. 赤とんぼ(山田耕筰)



からたちの花(Maki Mori)