yuki-midorinomoriの日記

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ヴォーン・ウィリアムズ『グリーンスリーヴズ幻想曲~ヴォーン・ウィリアムズの世界』。大英帝国の落日を牧歌的なまでにノスタルジックに歌い上げての民俗的情趣は魅力。

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Ralph VAUGHAN WILLIAMS:FANTASIA ON A THEME BY THOMAS TALLIS. PT.1.

            

イメージ 2きょうは大英帝国の落日を牧歌的なまでにノスタルジックに歌い上げ、魅力ある美しい民俗的情趣あふれる作品を音楽史に残したレイフ・ヴォーン・ウィリアムズRalph Vaughan Williams, 1872-1958)を取り上げよう。近現代の代表的なイギリスの作曲家といえばサー・エドワード・ウィリアム・エルガー(Sir Edward William Elgar、1857 - 1934)が先ず思いうかぶことだろう。あの第2の国歌とも称されている印象的な世紀の名作行進曲「威風堂々」で知られる作曲家だ。国民的と云っていいくらいの名声を得て、イギリスの作曲界を盛り上げた中興の立役者だ。そのエルガーより凡そひと回り後の世代だ。また、このヴォーン・ウィリアムズと時を同じくして活躍した作曲家に『惑星』で世を成した親友のグスターヴ・ホルスト(Gustav Holst/Gustavus Theodore von Holst, 1874 - 1934)がいる。WIKIによれば、わが国ではその名作「惑星」のゆえホルストの方が人気があるけれど、かの地ヨーロッパではヴォーン・ウィリアムズの方が評価が高いとのこと。ま、私自身どちらの作曲家も多くをまじめに聴いてきたわけではないので、なんとも言いようがないのだけれど。この作曲家に対してアメリカの民族派作曲家アーロン・コープランド(Aaron Copland, 1900 - 1990)は解説書によると「ローカル作曲家としてイギリス音楽への貢献は大だったが、輸出に耐える代物ではない。それは田舎者の音楽であり、高貴な霊感は認められても、なまくらである。」と評し、のたまわったそうだ。コープランドごときに斯く言われりゃ世話は無いとの思いもするのだが・・・。たしかに田園情趣ただよう牧歌的な民俗的響きはたっぷりと感じさせるが、これはまた片いっぽうで古式な宗教的祈り、≪高貴な霊感≫の世界を余情させたりもする。とにもかくにも、すばらしい弦の響き、オーケストレーションに品性がある。パワー、元気には不足しているかもしれないけれど、黄昏、落魄、斜陽の、切なくノスタルジックで甘美な美しさもいいものだ。それは夢心地にうっとりさせる。図書館ネット予約借受のアルバム。



『グリーンスリーヴズ幻想曲~ヴォーン・ウィリアムズの世界』

1.タリスの主題による幻想曲(1910-1919)
2.ノーフォク・ラプソディー 第1番(1906)
3.ひばりは昇る(1914-20)
4.グリーンスリーヴズによる幻想曲(1934)
5.「富める人とラザロ」の五つの異版(1939)
6・沼沢地にて(1904)


Ralph VAUGHAN WILLIAMS: Five Variants of Dives & Lazarus


http://www.youtube.com/watch?v=moL4MkJ-aLk Elgar, Pomp and Circumstance March No.1(威風堂々)