yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

スティーヴ・レイシー、富樫、吉沢トリオによる『STALKS(茎)』 (1975)。「『自制は(人間を支える)骨格である』と言う老子の言葉に触発されたもので・・・」スティーヴ・レイシー・ノートより。

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Yoshizawa Motoharu - Distance (1975):paintings by: Vilhelm Hammershoi (Danish Painter, 1864-1916)

           

スティーヴ・レイシー Steve Lacy名義のアルバムになっている。奏者の初来日(1975)を機に制作されたアルバムのよし。熱く狂的に燃えるわけでもなく・・・この人のイメージ?どおり地味な印象ではあります。これを内省的と受けとるべきなのだろうか。これは好みでしかないとは分かりつつなのだけれど、同じソプラノサックスソロでも、私のような、エヴァン・パーカーの<冷熱>なと評して決してまちがいではない凄絶きわまるインテンシヴなパフォーマンスに魅入られたリスナーにとっては、いまいちフィットしないのだけれど・・・。さてそうはいうものの、50年代からのセシル・テイラーとの共演など百戦錬磨、その道一筋の練達のソプラノサックスの凄みを了解できないのはたぶんひとえに私の感度の鈍さなのだろうか。このアルバムのパフォーマンスの質如何以前の問題に帰せられるのかも。
ところで、ジャズ評論家・清水俊彦記すライナーノーツに、A-1. STALKSは「発展と追求をテーマにしたもので、数年前ドストエフスキーのために書かれたが、演奏されたのは今度がはじめて」というスティーヴ・レイシーのプログラムノートよりのことばが見えたが、?。興味を惹く作家の名が語られているが・・・。さて・・・、といったところだ。それにまた、B-3. BONE(骨)には「『自制は(人間を支える)骨格である』と言う老子イメージ 2言葉に触発されたもので・・・」ともスティーヴ・レイシーはノートに記しているそうだ。なるほどなるほど、この人の演奏スタイルにピッタシの信条めいたことばだ。いや、このジャズマンに限らず、普遍性をもつ、いいことば、万人への教えのことばだ。関心惹くらしいドストエフスキーといい老子といい、このインテリジェンスや如何にと思わせるものだ。音楽それ自体にとっては外部性でしかないけれど・・・。



Steve Lacy『STALKS(茎)』 (1975)

Steve Lacy (ss)
Togashi Masahiko (perc)
Yoshizawa Motoharu (b)

A-1. STALKS
A-2. MOON
B-1. JAPANESE DUCK
B-2. THE WANE
B-3. BONE