yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ペーター・ルジツカ『PETER RUZICKA作品集』。マーラーといい、セリエルといい、伝統のキチットした包摂吸収は見事に精華となって作品を際立たせている。

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Peter Ruzicka's ...a vorgefuhle... (1998) for full orchestra.

              

イメージ 2一曲目「Metastrofe. An attempt at a break out for 87 instrumentalists」(1971)の微細にゆらめき揺動するランダムな音の群れ、その全体がマッスとしてグリッサンドして行きエネルギッシュに動きを加速爆走して高揚、カタルシスのうちに曲を終える。もう典型的な70年前後の現代音楽の最前衛の音響スタイルだ。典型とはいえ、その移ろう音色、変移のさまは決して凡庸ではない。音響空間はひじょうに引き締まってくっきりと起っていて、耳そばだたせる。きょう取り上げるドイツの作曲家ペーター・ルジツカ Peter Ruzicka (1948‐)の若き20才代前半の才気煥発、意気漲る作品の収められた作品集。具体的なことどもは語学不如意の私にはわからないが、なんでも先の作品「Metastrofe」はマーラーの作曲美学の研究から生み出されたよし。この作品も緊張感漲っていていい作品だけれど、B面1曲目の、チェロ協奏曲の形式を持つ「In processo di tempo ...‐Materials for 26 instrumentalists and violoncello」 (1971)も、音響のダイナミズムを小気味よく展開して見事な作品だ。これと先の「Metastrofe」、それに「”... Fragment ...”‐Five epigrams for string quartet」 (1970)の3作品は国際コンペティションでの受賞作品のよし。最後の「Bewegung. Tape enviroment」(1972)はテープ音響作品。マーラーといい、セリエルといい、伝統のキチットした包摂吸収は見事に精華となって作品を際立たせている。私は今浦島で、このペーター・ルジツカが、≪オーストリアザルツブルクで毎年夏に開かれる音楽祭。モーツァルトを記念した音楽祭として、世界的に知られている。≫(WIKI)世界最大の音楽祭であるザルツブルク音楽祭2002年の芸術監督を務めたそうで、斯くおおいに活躍しているのを今回このアルバム記事投稿にさいしてネット検索情報で知った次第。ウーン、むべなるかな。後年、先のポストを得せしめるにたる才あふれた作品だった。最後になったけれど、師はハンス・ウェルナー・ヘンツェ Hans Werner Henze とハンス・オッテ Hans Otte だそうだ。



収録曲――

「Metastrofe. An attempt at a break out for 87 instrumentalists」 (1971);
「”... Fragment ...” ‐Five epigrams for string quartet」 (1970);
「Stress for eight percussion groups」 (1972);
「In processo di tempo ... ‐Materials for 26 instrumentalists and violoncello」(1971); 「Bewegung. Tape enviroment 」(1972)