yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

尾高 尚忠「フルート協奏曲」(1948)ほか。サラッとして嫌味のない日本的情緒の洗練。日本的モダンはかくあるべし。

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Mina Kitamura- Flute Concerto (op. 30 by Hisatada Otaka)3rd mvt 北村美奈/フルートコンチェルト 3楽章

            

イメージ 2きょう取り上げるのは、夭折で惜しまれた作曲家2人のカップリングされたアルバム。音楽活動への業績を顕彰するということで設けられた≪日本で最も長い歴史を持つ音楽賞≫といわれている≪「過去1年間に公開あるいは放送によって初演された交響管弦楽曲(独奏あるいは声楽をともなうものも含む)のうち、民族文化に根ざし、演奏者及び聴衆の共感が期待できる創造的内容を有する邦人作品」に与える「尾高賞」≫(WIKI)。その名を冠せられた当の尾高 尚忠(おたか ひさただ、1911 - 1951)と戦後すぐのフランス留学と長きの研鑽を経ての華々しい経歴を引っさげ、絶対音楽の純粋世界を展開して志なかば?で逝った矢代秋雄(1929-76)の作品が収められている。先ほども云った現代作曲家の栄誉といえる「尾高賞」の名を冠せられる尾高 尚忠なる存在は、現代音楽に関心を持っている者には知られたことなのだけれど、活動年代が年代だけにさてその作品はとなると・・・、少なくとも私には初めてだった。さて、収められている「フルート協奏曲」。先に結論云ってしまえば、感心しましたのひとことである。まさに惜しまれる才能だったのだろう。サラッとして嫌味のない日本的情緒の洗練。この感性は私にはフィットする。少なくとも実質を感じさせるのだ。二楽章部分のフルートソロのすばらしさ、そして3楽章へのオーケストラとフルートソロとの絡みは清新さわやかだ。日本的モダンなるものはこうではなくちゃと口をついて出たものだった。日本的情緒をうまく(洗練し)掬い上げたいい作品だ。この作品は絶筆で正確には未完に終わったそうで、残されたわずかの部分を愛弟子の林光が筆を加えて完成させたとのこと。昨日に引きつづきの音楽鑑賞の収穫だったと報告しておこう。ところで、もうひとつの矢代秋雄作品。どうも私はこの作曲家の感性とは波長が合わないようだ。背後には何も無い美しさ、との印象がどうしても拭えない。その名声、与えられる多大な讃仰ほどには私には印象がはかばかしくない。ま、ドシロウトの私のほうに問題があるのだとしておこうか。



収録曲――
尾高 尚忠「フルート協奏曲」(1948)
矢代秋雄「二本のフルートのためのソナタ」(1956-58)