yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

渡邊 浦人交響組曲『野人』(1941)と湯山昭『子供のための交響組曲』(1969)。

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【おそ松くん1966 Original Version】by watanabe urato

           

渡邊 浦人
イメージ 2きょうも、先日に引きつづき廉価盤で出されていた<現代日本の音楽名盤1300シリーズ>の内の1枚からのピックアップ。収められているのは渡邊 浦人(わたなべ うらと、1909 - 1994)の交響組曲『野人』(1941)と、先日も登場した湯山昭(ゆやま あきら、1932 - )の『子供のための交響組曲』(1969)の2作品。まず『野人』。もうこのタイトルと作曲年代、そして作曲者の生年(昨日の尾高尚忠は1911年生まれ、そして伊福部昭1914年生まれ)から察せられるように、民俗臭芬々の作風といっておこうか。とは言ってもしかし洗練されたそれ(それゆえ質を保証されているといえようか、決して安っぽく、また俗っぽくもない)であるのが、たんなる国威発揚のための音楽と言う時代性、狭隘をまぬがれているといえるのかも・・・。ところでアルバムノートにはこうある、いわく≪芸術は民族の原始性から出発することによって世界化する」――これがわたしの作曲に対する態度である。野人は近代人の心の底にある野性を表そうとしたものである。野性とは、野蛮をさすものではなく、古代からいまに至るまで、人びとの心の奥深くに流れつづけているすぐれた行動の精神をさすものである。≫斯く民族のエートスへの眼差しはしごく真っ当であるのだが・・・。太平洋戦争開戦の1941年、戦意発揚横溢する中での作曲であり、同年の第10回毎日コンクールの首席入選、作曲部門での初の文部大臣賞受賞作品のよし。なるほどなるほど・・・。さて、もうひとつの湯山昭の『子供のための交響組曲』(1969)は「子供のための」と、その作曲意図を背景に持つせいか簡潔にして美しい作品だと言っておこうか。媚びるでもなく手練をおもてに出さないクセのない気持ちのいい作品だ。フランス近現代(六人組?)の香りをもつシンプルな親しめる作品と括っておこうか。