yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ『交響曲第7番(1983‐4)&舟歌(1979)』(1993)。先鋭性はうすれはすれどスケールに磨きがかかり、重厚豊麗な音を保守的彩りで絢爛と響かせている

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Hans Werner Henze: Sinfonia n.7 (1983/'84) Primo Movimento (seconda parte):Sir Simon Rattle

            

イメージ 2過日、≪ハンス・ヴェルナー・ヘンツェ『ピアノ協奏曲<トリスタン> (ピアノとテープと管弦楽のための)』(1973)。まったくゾクゾクさせるような色艶、陰影をもつ響き。≫とタイトルして投稿したヘンツェの2回目の登場。思いのほか良かったということがあってのことなのだけれど。ということで図書館のネット予約借受で所蔵CDを手にし鑑賞させてもらった。その予約CDの収録曲は、タイトルに『交響曲第7番(1983‐4)&舟歌(1979)』(1993)とあるように2作品で、先の投稿した『ピアノ協奏曲<トリスタン> (ピアノとテープと管弦楽のための)』(1973)と今回CD収録の『大オーケストラのための舟歌』(1979)、そして『交響曲第7番』(1983‐4)と、アバウトな時系列でいくと5年おきの作品と言うことになる。作曲家ヘンツェのそもそもの音楽形式上の出発、立ち位置は極端な無調セリーの前衛ではなかった。時代の寵児とは一線を画していたといえる。どちらかと云えば折衷、よく云えば中庸、あり余る才能、感性の趣くままを歩んできたといったイメージだった。今回たまたま時系列で順序を踏んで聴くこととなったのだけれど、経験、時を重ねるにつれ、作曲家の政治(左翼)的思想信条のテンションの移ろい、変化といえるのか、あるいは年齢的な円熟とみるべきなのか、先鋭性はうすれはすれどスケールに磨きがかかり、重厚豊麗な音を保守的彩りで絢爛と響かせている印象を持たせたのだった。まさにドイツ音楽、伝統の精華とでもいいたくなるほどにオーケストレーションの厚みを持った響きの世界だった。伝統の厚みと言うべきか、圧倒する隙間のない重厚かつ緻密な構成展開、伝統が生み出す才能の音楽の感性の尺度が私たちとはチョット違うよなといった印象だった。



ハンス・ヴェルナー・ヘンツェHans Werner Henze『大オーケストラのための舟歌Barcarola per grande orchetra(1979) /交響曲第7番Symphony No. 7(1983‐4)』

1. 大オーケストラのための舟歌Barcarola Per Grande Orchestra (パウル・デッサウの思い出にIn Memoriam Paul Dessau)
2. 第1楽章:生々と生気を持ってI: Tanz - Lebhaft Und Beseelt
3. 第2楽章:静かな動きで II: Ruhig Bewegt
4. 第3楽章:たえまない動きを持ってIII: Unablassig In Bewegung
5. 第4楽章:静かに、抑制してIV: Ruhig, Verhalten