yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ヴォルフガング・フォルトナー『Prismen』(1974)ほか。時代の潮流、音列アトーナルを感性豊かに取り入れるその手練と卓抜はすばらしい。たいしたものですよこれは・・・。なんという若々しさ!。

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イメージ 2きょうは、昨日取り上げた現代ドイツ音楽界の重鎮ハンス・ヴェルナー・ヘンツェの師であるヴォルフガング・フォルトナーWolfgang Fortner (1907 in Leipzig – 1987 in Heidelberg)。ジャケットの特大の大写しの写真を見て、うん?稲垣足穂(タルホ)?と思わせないでもない容貌。どうやらこれはカメラアングルの所為であるようで、いくつかのポートレイトをネットで見る限りフォルトナーのほうが知的であるように見受けられる。ま、そんなことはともかくこのアルバムに収められている2作品、とりわけ年代の新しい(もっともこのアルバムの出されたのが1977年であり、それを基準にしてのことだけれど)『Prismen für Soloinstrumente und Orchester』(1974)など、聴き惚れましたといったところだ。生年が1907年という、いわば旧世代の人といえそうだけれど、それから計算すると67才の作となる。たいしたものですよこれは・・・。なんという若々しさ!。新古典主義音楽を出自としつつ、時代の潮流、音列アトーナルを感性豊かに取り入れるその手練と卓抜は、この一作品聴いただけでもうなづけよう。すばらしい作品だ。もちろん、さかのぼること10年の、もう一曲の『Die Bluthochzeit:Zwischenspiele aus der lyrischen Tragödie von Federico García Lorca für großes Orchester』 (1963)もいいけれど、こちらの方が平明で親しみやすい作品だ(とはいえ、エネルギッシュで生気漲っている。)。これにくらべると先の67才時の作品のなんと精鋭なことか。こうした底堅く且つパッショネートな秀作を耳にすると、戦後ドイツ音楽界を背負ってゆく多くの若き先鋭の師となるのもむべなるかなと思わせる。過日≪ヴォルフガング・フォルトナー『トリプルム』(1966)ほか。 古典的美の堅実な中に感性の柔軟性を持って音列技法を融合した作品。無調でも斯く美しいのだ。≫とタイトルして投稿したなかで記したことだけれど再掲すると【ジョン・ケージのネクタイをはさみで切るというハプニングで知られた超ダダ、アヴァンギャルドの今は亡きビデオアーチスト、ナム・ジュン・パイク Nam June Paik 白南準 1932 - 2006)がドイツに留学、かの地で師事したのが、きょう登場するヴォルフガング・フォルトナーWolfgang Fortner (1907 – 1987 )。戦後の現代音楽で重きをなす多くの作曲家(ハンス・ウェルナー・ヘンツェ Hans Werner Henze(1926 - )やハンス・ツェンダー Hans Zender(1936 - )、ベルント・アロイス・ツインマーマン Bernd Alois Zimmermann(1918 - 1970)、ヴォルフガング・リーム Wolfgang Rihm(1952 - )など】の面々の名がみえる・・・。
このヴォルフガング・フォルトナーは是非とも聴くべし。



ヴォルフガング・フォルトナー Wolfgang Fortner
Prismen für Soloinstrumente und Orchester 」(1974)
「Die Bluthochzeit: Zwischenspiele aus der lyrischen Tragödie von Federico García Lorca für großes Orchester」(1963)