yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ルーカス・フォス『ELYTRES,PARADIGM』。もっと(一般的に)聴かれ、評価されなくてはならない、惜しい作曲家。 2009年2月1日86才にて没。

イメージ 1

Lukas Foss (1922 - 2009) The Improvisation Chamber Ensemble (1961) "Studies in Improvisation" Lukas Foss - Piano Richard Dufallo - Clarinet Charles Delancey - Percussion Howard Colf - Cello David D...

           

イメージ 2ドイツ生まれで、ナチスの戦禍をのがれてのアメリカ移住。ヨーロッパのすぐれた多くの知識人の人生選択の一つの姿だった。かの地にて現代音楽推進に大きく寄与したルーカス・フォス(Lukas Foss, 出生名:ルーカス・フックス、Lukas Fuchs, 1922 ベルリン - 2009 ニューヨーク市)のアルバム『ELYTRES,PARADIGM』がきょう取り上げるアルバム。というのも、たまたま別件でネット検索していて、2009年2月1日に86才の生涯を閉じていたのを知ったことからだった。アメリカ音楽界といば、ジョン・ケージらの超ダダ・アヴァンギャルドの存在に目が奪われがちだけれど、どちらかといえば現代音楽に関してはユーラシア・ヨーロッパに較べれて保守的アカデミズムが主流の音楽後進国といってもほぼ間違いはないだろう。それは、若きアメリアヴァンギャルドの多くがヨーロッパを活動の場としていたのをみても了解出来るのではないだろうか。ヨーロッパへ殴りこみをかけたのが米国の異端児ジョン・ケージであったとしてもだ。そんな中アメリカ・ニューヨーク・バッファローでの現代音楽の拠点・メッカを組織立てた功績は特段のものといえるだろうか。ピアニストにして作曲家、そして指揮と才人であった。その音楽経歴も相当なものだ。何かしら風貌雰囲気がクセナキスと似ていなくもないのがわが関心を呼ぶところでもあるのだけれど。それについ最近知ったことだけれど、ルーカス・フォスの、画家である美貌の妻Cornelia Fossが、いっときグレン・グールドのもとへ奔ったというエピソードも一層関心の惹くところともなった。ま、そんなことはともかくこれほどの作曲家が、どうして斯く知名度ひくくマイナーであり続けなくてはならないのか。(WIKIに日本語項目があるとはいえ)アメリカと謂う現代音楽の辺境地にてヨーロッパと同様の実験的試みを推進していたヨーロッパ系アメリカ人のルーカス・フォス。ヨーロッパの地にて活動していたら・・・とも思う。もっと(一般的に)聴かれなくてはならない、評価されなくてはならない、惜しい作曲家、と私は断言する。以前、拙ブログにて≪ルーカス・フォス『TIME CYCLE for soprano and orchestra』(1960)。瑞々しく美しい、そのインテリジェンスな感性に酔痴れる作品。無調12音列の澄明な響きの名作。≫とタイトルしてその讃を捧げている。現代音楽に抵抗のない人はぜひ聴いていただきたいものだ。
アルバム収録曲「Paradigm」はすでに≪ルーカス・フォス『パラダイムParadigm』(1968)、レジャレン・ヒラー『アルゴリズムAlgorithmsⅠ,VersionⅠ』(1968)。意味地平の革新、斬新が、感性がここには確かにある。≫とタイトルして投稿しているので、そちらへ。


収録曲――

Lukas Foss:
「Elytres」
「Paradigm」
「Ni Bruit Ni Vitesse」

Jan Williams:
「Dream Lesson」


http://artofthestates.org/cgi-bin/piece.pl?pid=134 ルーカス・フォス『Concerto for Percussion and Orchestra』 (1974)公開音源サイト

http://www.lastfm.jp/music/Lukas+Foss ルーカス・フォス試聴サイト




ルーカス・フォス、関連投稿記事――

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/56072115.html ルーカス・フォス『TIME CYCLE for soprano and orchestra』(1960)。瑞々しく美しい、そのインテリジェンスな感性に酔痴れる作品。無調12音列の澄明な響きの名作。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/56026878.html ルーカス・フォス『パラダイムParadigm』(1968)、レジャレン・ヒラー『アルゴリズムAlgorithmsⅠ,VersionⅠ」(1968)。意味地平の革新、斬新が、感性がここには確かにある。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/55999938.html ルーカス・フォス『GEOD for Orchestra』(1969)。始まりも終わりもなく、出来事ですらない音楽。ノスタルジックにたゆたい、ただ朧に、始まりもなく終わりもなく流れゆくだけの音楽。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/45092867.html シンプルで、その清冽な美しさを垣間見せるジョンケージの『コンチェルト』(1951)。即興演奏のカオスの高揚のうちに終結するコラージュ音楽、ルーカス・フォスの『バロックバリエーション』(1967)。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/45039843.html アサンブラージュ、コラージュのもたらす意外性が即興性と相俟ってことのほか新鮮な響きをもたらすルーカス・フォス『ノン・インプロザシオン』(1967)ほか。




Lukas Foss - Three American Pieces (1944) - I. Early Song