yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

フランソワ=ベルナール・マシュ『KORWAR』(1972)ほか。エネルギッシュな生命の原始的やり取りの如く野性を呼び起こす感興をもたらす。

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イメージ 2音楽に自然性を野性を!といったところだろうか。まことに新鮮ではある。なんで、フランス人の作曲家フランソワ=ベルナール・マシュFrançois-Bernard Mâche (1935‐)が、トルコの民族楽器トンバク(このアルバムではzarb)のソロ作品を作曲収録し、このアルバムのトップを飾っているのだろう。袋小路に入り込んだ現代音楽に生命の息吹を、エネルギーをとなると伝統的な民族音楽への接近となるのだろうか。それにこの作曲家においてはそれらの取り込み目配せが中途半端じゃない。音源を紹介できないのがもどかしいくらいに斬新だ。セリエール(合理)のやせ細り引き攣った(作曲家・松村禎三のことば)世界に、数学理論を民族的感性の背後にともないつつ荒々しいまでの音の塊を投げつけ衝撃を与えたクセナキスと同じ志向性を持った一つの試みといえるだろうか。マグネティックテープにあらかじめ収録された鳥やカエルの鳴き声や哺乳動物の鳴き声、聴きなれぬ民族語と思しきやとの、クラヴサンやピアノとの交感インタープレなど、エネルギッシュな生命の原始的やり取りの如く野性を呼び起こす感興をもたらすのだ。「KORWAR pour clavecin et bande magnetique」(1972)など、一瞬クセナキスハープシコード作品「Khoai」を思いおこさせてくれたのだった。フランスのエキゾチズムは、パリ万国博にはじまる。これはこの国の芸術の伝統であるらしい。



収録曲――
「KEMIT pour darbouka ou zarb solo」(1970)
「KORWAR pour clavecin et bande magnetique」(1972)
「TEMES NEVINBUR pour 2 piano,percussion et bande magnetique」(1973)
「CANZONE Ⅱ pour quintette de cuivres」(1957-63)




Iannis Xenakis- Khoai (2/2)