yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ルトスワフスキ「弦楽四重奏曲」(1964)。ペンデレツキ「弦楽四重奏曲」(1960)。演奏の不確定性がもたらす揺らぎと日本的伝統の幽そけき余韻で秀逸の黛敏郎「弦楽四重奏のための前奏曲」(1961)。

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Penderecki: "String Quartet No.1"(1960)

           

イメージ 3昨日も言ったように、きょうもまた動画サイトで音源のアップロードあるを知り、手にし取り上げたレコードと相成る。ドイツ・グラモフォンアヴァンギャルドシリーズVOL.1の6枚組みボックスの内の一枚なのだけれど、収録3作品のうち2作品、すなわちヴィトルド・ルトスワフスキの「弦楽四重奏曲」(1964)と、黛敏郎の「弦楽四重奏のための前奏曲」(1961)は【あなたに<素>の世界へ誘う革命家ジョン・ケージ】および【≪「顧みられぬ非凡の作曲家」≫ 黛敏郎、没後10年に思う。】とタイトルしての投稿済みのアルバムのカップリング作品だった。どちらも名作、秀作といえるもので、生動する繊細な音色の移ろいと緊張感で後世に残るすぐれた作品とするヴィトルド・ルトスワフスキの「弦楽四重奏曲」。演奏の不確定性がもたらす揺らぎと日本的伝統の余韻を幽そけく弦の響きで見事に提示し斬新をもたらし秀作とした黛敏郎の「弦楽四重奏のための前奏曲」。とりわけこの作品の作曲が1961年と言う、時代を先駆けて成されたことは瞠目に値するといえるだろう。ケージの音楽革命から左程の日時を経ずしてのことだったのだから。伝統回帰の象徴的代表傑作『涅槃交響曲』の作曲は1958年のことだった。それより3年のちにしても、このようなアヴァンギャルドを日本的感性の保守伝統ともども試みていたということは、注目すべき事態で、たんにモダニストの一直線の伝統回帰、保守主義ではなかったのではと思わせる。何がこの革新の意気を黛から奪ったのだろうか。そうしたことを思わせる秀作品だ。さて、ところがこの2作品の音源紹介が出来ないなか、もうひとつの収録作品クシシトフ・ペンデレツキの「弦楽四重奏曲」(1960)の音源が幸いにして貼り付け聴くことが出来る。冒頭で言ったように、つまりはこれあってゆえのブログ投稿となったのだった。ほんとうは、黛作品や、ルトスワフスキ作品をメインに紹介し鑑賞したかったのだけれど・・・。べつにペンデレツキ作品が劣るというわけではなく、エネルギッシュかつ明快、派手やかで、エキセントリックな特殊奏法満載の音響の斬新などという時代を象徴する歴史的価値をじゅうぶん持ち合わせた作品であることはいうまでもない。

                   写真↓黛敏郎弦楽四重奏のための前奏曲」スコアー
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収録作品――
ヴィトルド・ルトスワフスキの「弦楽四重奏曲」(1964)
クシシトフ・ペンデレツキの「弦楽四重奏曲」(1960)
黛敏郎の「弦楽四重奏のための前奏曲」(1961)


Witold Lutosławski - String Quartet - I. Introductory Movement