yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ロームミュージックファンデーションSPレコード復刻CD集『CD5/日本人作品(2)』。おお!『三味線協奏曲 第1番』(1927)ほか。ザーザーと時代の雨降るチャンバラ映画を何本も見た気分だ。

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東京行進曲 佐藤千夜子(昭和四年) 西條八十:作詞、中山晋平:作曲

          
日本では三味線と言う楽器は代表的な楽器のように考えられますが、実は日本のあらゆる楽器のなかで、最もあとに日本に入ってきた楽器です。ほかのお筝や尺八や琵琶がすべて奈良時代に入ってきたのに比べますと、三味線はせいぜい織田信長の時代ですから、それから八百年も遅れて入ってきたことになります。(小泉文夫「日本の音」・平凡社ライブラリー
さて、きょうもまたまたわが町の図書館にて借り受けてきたCD。ロームミュージックファンデーションSPレコード復刻CD集『CD5/日本人作品(2)』。ところで、これにはなんと、『三味線協奏曲』なるなんとも奇体な?作品がおよそ30分ほども収録されているのだ。これは珍品聴きものだというわけだった。一言でいえば昔懐かしい往時のチャンバラ映画の劇伴音楽といえば、凡その曲調雰囲気がお分かりいただけるだろうか。SPレコードの復刻にふさわしくノイズの雨がザーザーと降りしきり、否が応でも時代を感じさせ、ノスタルジーを誘って切ない気分にさせるのだ。作曲は民謡研究、民謡邦楽作曲などで業績あった町田嘉章(かしょう1888-1981)。残念ながらネット検索してもほとんど情報らしきものはない。僅かに「ちゃっきり節」(北原白秋作詞)の作曲者であるということぐらいだ。
『三味線協奏曲 第1番』(1927)全曲と『三味線協奏曲第2番』(1934)より、第3楽章 ロンド。
なんだか戦後の、娯楽のない貧しい時代の野っぱらに設けられた野外スクリーンで見たチャンバラ映画が脳裡をかすめ、西洋音楽(音階)にそぐわぬ三味線のなんとも調子っパズレが哀しく、ザーザーと降りしきりノイズの雨に胸ざわつきやるせなく切なくさせるのだった。ザーザーと時代の雨降るチャンバラ映画を何本も見た気分だ。



■CD5 日本人作品(2) 【全8曲】
1. 中山晋平 Shimpei Nakayama(1887-1952):鉾を収めて(橋本國彦編)
橋本國彦 Kunihiko Hashimoto(ヴァイオリン)
宅 孝二 Koji Taku(ピアノ)
日本ビクター 52729A(1933年録音)

2. 大中寅二 Traji Onaka(1896-1982):前奏曲 ト調、ロ調
大中寅二 Traji Onaka(オルガン) 
日本エジソン E875/6(1936年録音)

3. 信時 潔 Kiyoshi Nobutoki(1887-1965):組曲「木の葉集」
豊増 昇 Noboru Toyomasu(ピアノ)
日本コロムビア 32043/5(1941年録音)

4. 清瀬保ニ Yasuji Kiyose(1900-81):「第2ピアノ曲集」より 舟歌
清瀬保ニ Yasuji Kiyose(ピアノ) 
日本ポリドール P5189(1941年録音)

5. 古曲-岡村雅雄編 Arr. Masao Okamura(1892-1961):燈籠流し
岡村雅雄 Masao Okamura(フルート)/日本ビクター管弦楽団 
日本ビクター 53107A(1934年録音)

6. 吉澤検校-菅原明朗編Arr.Kengyo Yoshizawa-Meiro Sugahara(1897-1988)
:千鳥-筝曲によるパラフレーズ
宮城道雄 Michio Miyagi (筝)
荻野綾子 Ayako Ogino(ソプラノ)
菅原明朗 Meiro Sugahara(指揮)/日本ビクター室内管弦楽団 
日本ビクター 13316/7(録音年未詳)

7. 町田嘉章 Kasho Machida(1888-1981):三味線協奏曲 第1番 
町田嘉章 Kasho Machida(三味線)
篠原正雄 Masao Shinohara(指揮)/新交響楽団 
日本パーロフォン E10024/5(1930年)

8. 町田嘉章 Kasho Machida(1888-1981):三味線協奏曲第2番より、第3楽章 ロンド 
杵屋佐吉 Sakichi Kineya(三味線)/日本ビクター管弦楽団 
日本ビクター 13454(1936年録音)