yuki-midorinomoriの日記

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『Acting Trio』(1969)。英独に比べ低調なフランス・フリージャズのなかでは貴重なドキュメントといえるのかも。

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その名のとおり、エネルギッシュで「Acting」なパフォーマンスで終始最後まで聴かせることを思えば、アルバムタイトルの「acting trio」には、ウソ偽りはない。言うまでもなく飛び上がり、跳ねまわるわけではないけれど体を張ったフリーインプロジャズだ。録音データをみると1969年。世界が熱く燃え沸き立っていた歴史的年次だった。フリージャズもドイツ、イギリスだけではなく、フランスでも今日取り上げるacting trioなどの活動があったのだといったところか。フランスはなぜか、フリージャズに関しては先の英独ほどには活発ではなかったように記憶するが、それだけに貴重なドキュメントといえるのかも知れない。ただこのグループのその後の行方が杳として分からないことを思えば、やはりさほどのフリー・ムーヴメントは起こらなかったといえるのかも。私のレコード蒐集にもみるべきものはこれ以外みあたらない。だいぶ前に、フランソワ・テュスクFrancois tusquesなどを取り上げたけれど、それとてそんなにアヴァンギャルドでもなかった。音楽の外部性としての政治意識は強いグループだったけれど、音それ自体は破壊的フリーでもなかった。ことジャズに関してはどちらかといえば保守的といっていいのかも知れない。そんななかでは、このアルバムの『Acting Trio』は先鋭性を押し立てた貴重なパフォーマンスドキュメントといえるのかも・・・。



『Acting Trio』(1969)

Acting Trio - Acting Trio

Tracklist:
A. Acting N° 4 17:00
B1. Acting N° 13 10:30
B2. Cello Discordato N° 9 7:30

Credits:
Cello [Cello Discordato] - André Maurice
Liner Notes [Interview] - A.M.* , P.M.*
Piano - Jean-Pierre Sabar
Producer - Jean Georgakarakos , Jean-Luc Young
Tenor Saxophone - Philippe Maté

Notes:
actuel 14
Comes in a gatefold sleeve featuring an interview with André Maurice and Philippe Maté from Actuel magazine.
Imprimerie J.A.T.Cello [Cello Discordato] - André Maurice



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