yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ミルトン・バビット「All Set, for Jazz Ensemble」(1957)ほか『SPECTRUM:NEW AMERICAN MUSIC, VolumeⅤ』(1974) 。

イメージ 1

Milton Babbitt: "All Set" for Jazz Ensemble (1957)

           

ミルトン・バビット
イメージ 2現代アメリカ作曲界の長老であり重鎮と言ってたぶん異存ないだろう一人にエリオット・カーター(Elliott Carter, 1908 - )がいる。ピエール・ブーレーズの評価を得ているということに乗っかるわけではないけれど、今後その名声ますます高らしむること先ず間違いないことと思われる。アメリカの作曲家では群を抜いての力量の持ち主だ。知性、素養の深みが違う。そして101歳の長命をたもっているのも並外れている。現在どれほどの創作活動を成しているのだろうか。さて、もう一人の現代アメリカ作曲界、東部アカデミズムの大御所に、これまた長命のミルトン・バビット Milton Byron Babbitt (1916-)がいる。この作曲家には≪十二音技法を彼なりに拡張したセリー技法を発明したことが名高く、トータル・セリエリズムの生みの親といわれる。1947年に作曲した「ピアノのための3つのコンポジション」はブーレーズメシアン、ホイバールツに先駆けたセリー技法の作品である。≫(WIKI)とその業績が称揚されている。というも数少ない私の鑑賞経験からは、好みもあるけれどエリオット・カーターの方が音楽的には、優れているいるように思える。音色感覚がするどいといった印象だ。先日も帰宅途上のラジオ放送から流れていて感じ入った音楽が、後日のネット検索で分かったことなのだけれど、デュオ作品なのにそれ以上の人数での室内楽の如き豊かな音色とボリュームの響きをもっていたエリオット・カーターの曲であることに感心した。それは以下のものだった。

【「エンチャンテッド・プレリュード」       カーター作曲
                       (6分41秒)
               (フルート)エマニュエル・パユ
              (チェロ)ジャン・ギアン・ケラス

それはともかく、きょう取り上げた『SPECTRUM:NEW AMERICAN MUSIC, VolumeⅤ』(1974)はタイトルにあるように当時(70年前後)のアメリカの現代音楽の展望といった意味合いでの作曲家、その作品紹介シリーズのうちの一枚だ。収められているものすべてそれなりに良くできているけれど、やはり異彩を放っているのはミルトン・バビットの「All Set, for Jazz Ensemble」(1957)といえるだろうか。どれほど演奏に自由さが与えられているのかは分からないけれど、ジャズの軽快さとイディオムに現代音楽(音列技法)が乗っかり演奏されてゆくすがすがしさと伸びやかさは機知に富んでおもしろい作品と成っている。同時期サードストリームなるジャズとクラシックの融合を唱えるムーヴメントがあったけれど、それと関係があるのかどうかはわからないが・・・。




『SPECTRUM:NEW AMERICAN MUSIC, VolumeⅤ』(1974)

Milton Byron Babbitt :「All Set, for Jazz Ensemble」(1957)
Thomas Jefferson "T.J." Anderson (1928-) : 「Variations on a Theme by M.B. Tolson」(1969)
Richard Wernick (1934-) : 「Kaddish-Requiem(a secular service for the victims of indochina」(1971)



http://artofthestates.org/cgi-bin/composer.pl?comp=6 Art of the States: Milton Babbitt ミルトン・バビット作品公開音源サイト