yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

チャールズ・ウォリネン『Time's Encomium』(1968‐69)。何がおもしろくてこのような貧相な電子音楽を発表するのだろう。駄作云々というより認識世界が了解不能なほどに位相がズレている。

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Wuorinen- Piano Concerto No. 3 (1/4)

            
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イメージ 2最悪の電子音楽とひとまずはいっておこうか。こういった電子音の音色感覚は耐え難い貧弱さというほかない。何がおもしろくてこのような貧相な電子音楽を発表するのだろう。もう、音への認識のありかたが根本的に違うというほかない。駄作云々というより認識世界が了解不能なほどに位相がズレている。たまさか公開音源サイトArt of the States にて、きょう取り上げるアメリカの現代音楽作曲家、それも東部アカメディズムの重要作曲家のひとりと目される(幾度かブログ稿で登場しているナチドイツより米へ居を移したドイツの作曲家シュテファン・ヴォルペに師事している)チャールズ・ウォリネンCharles Wuorinen, 1938 - )の当の『Time's Encomium (for synthesized & processed synthesized sound)』(1968‐69)を全曲聴くことが出来るので、興味のお持ちの方は是非耳傾けて判断いただきたい。同時代の米国の電子音楽とヨーロッパのそれとがいかに懸隔甚だしいか了解されることと思われる。一体にこの音色感覚はなんなのだろう。いや、そうではなく私のようなシロウトが了解できないような地平での電子音の構造的な探求がなされているということなのだろうか。いわゆるミュージックコンクレートというより、コンピュータを介しての電子音生成のプロセスへの関心ということなのだろうか。それにしても貧相なコンピュータ電子音楽だ。≪・・・彼自身は音列やピッチの合理的な制御を単に望んでいただけである。1980年代、その思想は「フラクタル幾何学」の厳密な適用と言う形で突き詰められ、ピアノ五重奏曲ピアノソナタ第3番には、部分的にマンデルブロ集合の公式が援用されたことで話題となった。≫(WIKI)とあるごとくアコースティックな作品はけっこうオモシロく、また堅実でよくできているのが多いのに、この落差をどう了解したらいいのだろう。ほんとうにつまらない電子音作品だ。というものの、<Art of the States>で、そのつまらないと私が思っているこの作品が提供されているのだ。むしろ私の感性・知性をこそ疑うべきなのだろうか。



Charles Wuorinen『Time's Encomium (for synthesized & processed synthesized sound)』(1968‐69)

(Composed and realised between January 1968 and January 1969 at the Columbia-Princeton Electronic Music Center in New York.)

Tracklisting:
A. Time's Encomium (Part I) (14:53)
B. Time's Encomium (Part II) (16:47)

http://artofthestates.org/cgi-bin/piece.pl?pid=17『Time's Encomium (for synthesized & processed synthesized sound)』(1968‐69)を全曲聴けます