Steve Lacy 『SAXOPHONE SPECIAL』（1974）。サックス４本というモノトニアスな音色に色添えるミシェル・ヴァイセヴィッツのチープなシンセサイザーが面白い。

"Swishes," from Steve Lacy, Saxophone Special + (Emanem Records). Recorded in 1974 at the "Wigmore Hall" in London

　　　　　　　　　　　　　　　

よく「・・・づくし」といった高級極上料理があるけれど、最初はその美味さに食は進めど、いいかげん腹におさまると、その極上ものも単一の舌触り、味に飽きがくる。それと同じような印象をもたせる結果となってしまっているのが、きょう取り上げるアルバム「SAXOPHONE SPECIAL」（1974）と一応いっておこうか。スティーヴ・レイシー、トレヴァー・ワッツ、エヴァン・パーカー、スティーヴ・ポットという4本のサックスと、それにギターのデレクベイリーと風変わりで興味深いポケットシンセサイザーのミシェル・ヴァイセヴィッツMichel Waisvisz (1949 in Leiden, Netherlands – 2008 in Amsterdam)のコレクティヴパフォーマンスのドキュメント。ともかくこのアルバムで色添え、盛り上げているのがホームメイドよろしきチープなシンセサイザーだ。それが引っ掻き回して風変わりな音響場をつくり、それに焚きつけられての個々のソロがおもしろいといえば言えるのだけれど・・・。やはり先にいったような「・・・づくし」のサックス４本というモノトニアスな音色には、いささか食傷してくるのは否めないようだ。

Steve Lacy 『SAXOPHONE SPECIAL』（Emanem 3310、1974）

Steve Lacy, soprano saxophone and gramophone;
Trevor Watts, alto and soprano saxophones;
Evan Parker, soprano, tenor and baritone saxophones;
Steve Potts, soprano and alto saxophones;
Derek Bailey, electric guitar;
Michel Waisvisz, electronic synthesizer.
Staples (09.40), Dreams (11.20), Swishes (05.45), Sops (07.10), Snaps (09.20).
Recorded live in London at the Wigmore Hall on 19 December 1974 by Martin Davidson.
Sleeve design (reproduced above) by Martin Davidson.
Recorded live in London at the Wigmore Hall on December 19, 1974.

Tracklisting:

A1.Staples (9:40)
A2.Dreams (11:20)

Performer [Gramophone, Right Channel] - Steve Lacy

B1.Swishes (5:45)

Saxophone [Baritone] - Evan Parker

B2.Sops (7:10)

Composed By - Parker* , Lacy* , Potts* , Watts*

　　　　　Saxophone [Soprano, Left Channel] - Trevor Watts

　　　　　Saxophone [Soprano] - Evan Parker , Steve Potts

B3.Snaps (9:20)

Saxophone [Soprano] - Steve Potts

ミシェル・ヴァイセヴィッツ関連投稿記事――
http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/55924773.html ミッシェル・ヴァイスヴィッツ『CRACKLE』(1978)。ハンドメイドシンセサイザーが奏でる愉しいといえば謂えなくもなく、バカバカしいとこれまた謂えなくもない。何かね？これはといった感じ。＜数寄＞。

Sound Destruction Unit - first sample