yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

デレク・ベイリー、ギターソロ『Lot 74』(Incus 12、1974)。≪意味≫など問う必要はないのだ。偶然がもたらす、意味から解き放たれた音の煌めきはことのほかの真如であることだろう。

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Derek Bailey - Lot 74 (1974)

            

≪「小説は論文じゃない。朝起きたり道を歩いたりすることをわざわざ書く。そのこと自体が何かでなければおかしい。・・・小説とは読後に意味をうんぬんするようなものでなく、一行一行を読むという時間の中にしかない。・・・そこにあるのは言葉としての意味になる以前の、驚きや戸惑いや唐突な笑いだ。・・・小説家は意味でなく一つ一つの場所や動作や会話を書く。それが難しいのだ。読者もそう読めばいいのだが、やっぱりそれが一番難しいから、意味に逃げ込む。」(保坂和志カフカ・城」)≫

人は、渓流に流れる水の音、その不定形な音に清冽を感じ、ココロ洗われ慰撫すら覚える。なぜか?自然現象の基底にある≪ものの予測のできない空間的、時間的変化や動き≫を謂う「1/f 揺らぎ」は、人に安らぎをもたらす。そうした自然との同期。いわば身を預けるということでもあるのだろう。そのように≪わたくし≫を大いなるものへとあずける音楽でもある。≪意味≫など問う必要はないのだ。偶然がもたらす、<ウツ・空>になだれ込む意味から解き放たれた音の煌めきはことのほかの真如であることだろう。



Derek Bailey『Lot 74』(Incus 12、1974)

Derek Bailey, solo guitar improvisations, voice.
Lot 74 (22.00), Together (02.15), Pain in the chest? (03.00), Planks (04.00), In joke [take 2] (04.00) Improvisation 104[b] (06.00).
Recorded Spring 1974, except final track (no details), recorded by Bob Woolford and Martin Davidson.
Cover design by L.da Vinci.




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http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/49023489.html <ウツ>のはてに雪崩れ込んでくる放心の充溢。インテンシヴな冷たい情熱・パトスに満ちたインプロヴィゼーション・ジャズ『The Music Improvisation Company 1968-1971』




Tony Oxley / Derek Bailey - Sheffield Phantoms (1975)