yuki-midorinomoriの日記

イメージを揺さぶり脳をマッサージする音楽

ロバート・アシュレイの初期ピアノソロ作品『ピアノソナタ』(1959-79)ほか。そのピアノはシンプルで静謐漂う≪簡素なたたずまい≫を思わせる。

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Robert Ashley : Piano Sonata

           

戦後現代音楽最大の革命家・アヴァンギャルドジョン・ケージも不確定、偶然性のコンセプトをかかげ、音楽史に揺さぶりをかけて耳目を集める存在にいたるまでの若き苦闘の日々にものした作品には、ピュアーでナイーブな精神の発露ともいえる作品、とりわけ(プリペアード)ピアノ小品がある。それらを拙ブログでは

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/40291978.html 孤独で美しく、やさしくもの悲しげなジョン・ケージの『Sonata and Interludes』(1946-48)『A Book of Music』(1944)

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/45348386.html 苦悩の時代、美しく結晶する無垢の響き。ジョン・ケージ『THREE DANCES for two amplified prepared pianos』(1944-45)

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/27277892.html 簡素な居住まい、佇まいのケージの初期ピアノ作品集

といったタイトルでの表現を用いて投稿している。初期の作品に通底するこうしたココロのありようは、以後のアヴァンギャルドな作品にも通奏低音のごとくに鳴り響いているのだけれど・・・。ところで、このケージ以後の若きアヴァンギャルドの、いまや大御所といわれているらしいひとりに、ロバート・アシュレイRobert ashley(1930-)がいる。つい先日も、米・ミシガンを拠点に前衛芸術グループ<ONCE>をロジャー・レイノルズら(フリージャズのボブ・ジェームスもその渦中にあったひとり)と創設し、その先導役としておおいに活動していたとして、このロバート・アシュレイのことを記した。どちらかといえば、純音楽というより、演劇的、視覚的要素などを取り入れてのシアトリカルな作品形成をその当初から目していて、いわば高度産業技術時代到来とパラレルなマリチプルな文化の先取りともいえる芸術を志向していたといえるのだろう。現代を象徴するかのようなエロチックな猥雑さと都市文化的空虚感の漂うイメージのまとわりつく、不可思議で了解し難い作品が多いように思えるのだけれど。ところで、枕にあげた若きアヴァンギャルドジョン・ケージの孤絶した哀しみと清冽が沁みてくる初期ピアノ作品と相同の愛おしささえ奏でている風情の作品、ロバート・アシュレイの初期ピアノソロ作品『ピアノソナタPiano Sonata (Christopher Columbus Crosses to the New World in the Niña, the Pinta and the Santa Maria Using Only Dead Reckoning and a Crude Astrolabe)』(1959-79)の収録されたアルバムが、きょう投稿するもの。そのピアノはシンプルで静謐漂う≪簡素なたたずまい≫を思わすものといっておこうか。時至る雌伏にあった若きアヴァンギャルドの孤独の清冽は愛おしく響いてくる。



Robert ashley『Piano Sonata (Christopher Columbus Crosses to the New World in the Niña, the Pinta and the Santa Maria Using Only Dead Reckoning and a Crude Astrolabe) 』(1959-79)

BLUE " GENE TYRANNY / JUST FOR THE RECORD ( VR 1062 )

A: Sonata - Robert Ashley
I II III
I + II + III ( trio ) :
Christopher Columbus Crosses to the New World in the Nina, the pinta and Santa Maria Using Only Dead Reckoning ans a Crude Astrolabe

B: Timing - Pjil Harmonic
Great Masters Of Melody - Paul DeMarinis
Rendezvous - John Bischoff

" Blue " Gene Tyranny - grand piano, polymoog, hohner clavinet, modifiers
Phil Harmonic - voice
Paul DeMarinis - great masters of melody circuit
produced by " Blue " Gene Tyranny
recordists: Maggi Payne ( side A )
John Bischoff, Paul DeMarinis, " Blue " ( side B )
mixing: " Blue "
recorded at The Center for Contemporary Music, Mills College 8 Oakland, California ) , August-September, 1978
VITAL / LOVELY MUSIC RECORDS 1979



ロバートアシュレイ関連投稿記事――

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/54126895.html 『MUSIC FROM THE ONCE FESTIVAL1961-1966』(2003)。ケージ以降の若きアメリカ・アヴァンギャルドの貴重なドキュメント。エレクトロニクスによる感性開放の歴史。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/58065092.html ロバート・アシュレイ『In Sara, Mencken, Christ and Beethoven There Were Men and Women』(1974)。空虚感ただよう<意味>性の剥奪?。

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/31512794.html 愛おしく交感するモノローグ、ロバート・アシュレイの 『PRIVATE PARTS』

http://blogs.yahoo.co.jp/tdhdf661/25424702.html ロバート・アシュレイの色っぽいエレクトリックミュージック